デッドシート 地獄への直流電気椅子 「評価 D」
長年閉鎖されていたハイ・ストリート刑務所は、この度改装され、精神面に問題のある受刑者にカウンセリングを施す場所として再利用されることとなった。そこで所長のドワイヤーは、ベテラン精神科医のランガーと新米カウンセラーのリサを雇い、精神病を患う受刑者たちのカウンセリングに当たらせた。当初カウンセリングは順調になされ、ランガーたちは受刑者の心を開くことに成功する。ところが日が経つにつれて、刑務所に潜む怪しい影が露になっていった。電気系統の相次ぐ故障に加え、換気扇の急な作動により職員が死亡したり、鉄格子に高圧電流が流れて受刑者たちがパニックに陥ったりと、怪現象が多発したのである。そんな中でドワイヤーは、今は亡き同僚ジョーの声を聞き、これらの現象がジョーの怨念によるものと確信した。まだハイ・ストリート刑務所が閉鎖されていなかった頃、刑務所では囚人たちによる大規模な暴動があった。当時看守をしていたドワイヤーとジョーは共に捕らえられ、リンチにかけられたのだが、ドワイヤーは自分の身が自由になった途端、ジョーを見捨てて逃げ出してしまった。その直後、ジョーは囚人たちに電気椅子にかけられ、無惨な最期を遂げたのだ。そんなジョーの怨念が今でも電気椅子に宿り、刑務所内の人間を苦しめている。そうと知ったドワイヤーは、自らの罪滅ぼしのため、ジョーの怨念が居座る電気椅子へと向かった。だがその頃、受刑者たちは鉄格子に電流が流れたのをドワイヤーたちの仕業だと誤認し、「奴らは自分たちを処刑しようとしている」という猜疑心に駆られていた。彼らの疑いはやがて暴動という形で爆発し、刑務所内は大パニックに陥るのだった…。
電気系統を掌握する怨霊が巻き起こす騒動を描いたホラー映画。ストーリーの2つの柱となる、怨霊による諸々の騒動と、受刑者たちの暴動劇が、中盤の「鉄格子に電流が流れた」という一点でしか繋がっておらず、どうにもちぐはぐな印象を受けた。クライマックスにおいてもこれら2つの話は1つに纏まることがなく、暴動劇は中途半端な状態で放置され、そのまま怨霊の浄化へ話がシフトしてしまうものだから、非常に後味が悪くなっていたのだ。ただし本作、バラード調の切ない音楽が延々と流れるオープニングや、電球の中で眼球が動き回る悪夢的なイメージなど、他のホラー映画とは一味違う雰囲気の演出には目を見張るものがあった。
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