獣人繁殖             「評価 D」
文明が滅びてから数十年後、人々は穴倉に集団に住み、狩りをしながら生活するようになっていた。だがある集落では、リーダーである中年男性が自身のことを神に選ばれた存在と称し、その権限を濫用して、若い女性たちを無理矢理自分のものとしていた。彼の息子であるデビッドは、父親の暴虐に腹を立て、彼を殺害。そして仲間のサラたちを連れて、集落を離れたのだ。やがて彼らは、廃墟に変わり果てた都市の付近に辿り着いたところで、大きな嵐に襲われる。そして気がついたら、テレビやコンピューターに囲まれた、広い部屋の中にいた。彼らが見たことも無い文明の利器の数々に茫然としていると、部屋の主である2人の男女、ニールとジュディスが現れた。2人は凡そ100年前、実験により遺伝子変異をもたらすウイルスを植えつけられた。その影響で不老不死となり、文明が滅びた今でも当時と変わらぬ生活を送っていたところ、嵐に襲われていたデビッドたちを発見し、家まで連れてきたというのだ。その後、デビッドたちは彼らの家に滞在し、酒にドラッグにセックスと、滅びる前の文明を謳歌する。しかしニールたちには、デビッドたちを連れてきた裏の目的があった。2人だけで過ごす長年の生活に嫌気が差していた彼らは、デビッドたちをウイルスに感染させることで仲間を増やそうとしていたのだ。ところが全ての人間がウイルスで遺伝子変異を起こすわけではなく、もしウイルスとの相性が悪かった場合、感染した人間は肉体がねじれて破裂してしまうという、恐ろしいリスクが秘められていたのである…。
「魔界覇王」「怪奇異星物体」「人喰い人魚伝説」「クモ男の復讐」と並んで、サミュエル・Z・アーコフの「クリチャー・フィーチャーズ」シリーズに数えられるTVムービー。本作はコーマンの「恐怖の獣人」と同じ「TEENAGE CAVEMAN」という原題をしているが、やっぱり内容は「恐怖の獣人」とは無関係。穴倉に暮らしていた若者たちが文明と接触し、セックスやドラッグを満喫しながら1人ずつ死んでいくという、「クリーチャー・フィーチャーズ」の中でも断トツに頭の悪い脚本だった。更に予算の方も他のシリーズと比べて数段落ちるようで、撮影場所は岩場と廃墟と広い部屋だけというお手軽さだし、穴倉のシーンではろくな照明を使っていないらしく画面が随分とざらついていた。ウイルスと相性の悪かった人間が破裂して内臓を飛び散らせたり、不死身の人間を倒すために首を引っこ抜いたり心臓を抉り出したりと、グロテスクな描写に関しては見応えがあったものの、その他の点では評価できない作品である。
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