怪奇異星物体 「評価 C」
心理療法士のジェニファーは小学校のカウンセラーとして働くことになり、ニューヨークから田舎町シエラ・ビスタへと引っ越してきた。ところがこの町は田舎特有の閉鎖的雰囲気が漂っており、ジェニファーを歓迎しようとはしてくれない様子。そんな中でジェニファーは、小学校でいじめられているベンという少年と出会った。彼は4年前に唯一の肉親だった母親を亡くしており、今は町医者のマイケルの養子として暮らしているものの、ずっと他人に対して心を閉ざしたままだったのだ。ジェニファーは彼にカウンセリングを施し、少しずつ距離を狭めていく。ところがある日、事件は起こった。町の住民たちが、得体の知れない怪物によって次々と殺害されていったのである。住民たちは怪物狩りに乗り出すが、怪物は触手と鋭い爪で応戦し、なかなか倒すことができない。一方でベンは亡き母親から「父親は異星人で、やがて自分たちを迎えに来てくれる」と言い聞かされていたので、怪物を父親と思い込んで接触を試みようとした。だがそんな中で、ベンに隠された秘密が明らかになった。実はベンには超能力があり、遠くの金属を熱くさせるなどの不思議な現象を起こすことができた。しかしそのせいで4年前、ベンの母親は魔女ではないかと疑いをかけられ、住民たちに処刑されてしまったのだ。ベンはその時の記憶を封印していたが、ジェニファーのカウンセリングの影響で少しずつ呼び覚まされた。すると彼は無意識のうちに超能力を使い、TVの怪奇映画に出てくる怪物を実体化。母親を処刑した人々を襲わせ、復讐を遂行していたのだ…。
「魔界覇王」「人喰い人魚伝説」「獣人繁殖」「クモ男の復讐」と同様、サミュエル・Z・アーコフの「クリチャー・フィーチャーズ」シリーズの1本に数えられるTVムービー。「THE DAY THE WORLD ENDED」というコーマンの「原子怪獣と裸女」と同じ原題をした本作は、閉鎖的な田舎町で超能力をもった少年が巻き起こす騒動を描いた内容なのだが、何よりもメインとなる怪物の全体像がハッキリしないのが致命的だった。住民を一人一人殺害していくシーンは勿論のこと、住民たちとの戦闘シーンに突入しても、画面に出てくるのは怪物のパーツのみで、全体像はでてこない。おかげで触手をどこから伸ばしているのか、爪をどこから生やしているのかが全く分からず、殺害も戦闘も見ていてろくに盛り上がることができなかったのだ。「テレビのモノクロ怪奇映画の怪物が超能力で実体化」という設定は、「旧来の作品を現代に蘇らせる」という本シリーズのコンセプトがダイレクトに象徴されていて面白かったものの、モンスター映画としてはいまいちな印象だった。
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