新・14日の土曜日 「評価 D」
ジョンとその家族は、叔父が死去したことに伴い、彼が住んでいた屋敷を譲り受けることとなった。期せずして念願のマイホームが手に入ったジョンたちは、すぐさま家財道具を車に積み、屋敷のあるペンシルバニアへ行ってみた。ところがその家は、幽霊屋敷という表現がしっくり来るくらいに無惨に朽ち果てた有様。ジョンと妻メアリーは、到着するなり家の掃除に追われるのだった。しかもこの家には、只ならぬ空気が蔓延していた。ガラスは割れる。黒猫は通りかかる。肖像画の目は動く。様々な現象を目の当たりにし、ジョンたちが家の不穏さに薄々気づきながら片づけをしていると、叔父が遺したと思われるメモが出てきた。それには「本を開くな」との一文が。だがその頃、家の中を探検していた息子ビリーが、偶然にも叔父が警告していた本を発見し、中を覗いてしまった。本の冒頭ページには「13日の金曜日は凶、しかし14日の土曜日は大凶」と、血文字で記されていた。するとその瞬間から、家の至る所に怪奇モンスターたちが現れ、ジョンたちの生活を脅かすようになった。ビリーが寝ているベッドに怪物が来訪し、娘デビーの入っている浴槽に半魚人が現れ、倉庫には無数の吸血コウモリが出現し、メアリーに襲い掛かる。実はこの本は、無数の怪奇モンスターたちを封印した禁断の書物だったのだ。相次ぐ騒動に頭を抱えたジョンは、害虫駆除協会に電話し、モンスターたちの退治を依頼。直ちに協会からはヘルシング教授が派遣され、14日の土曜日に、書物を我が物にせんとする吸血鬼ウォルドマーたちと死闘を繰り広げる。ところがやがて、ヘルシング教授の方も自らの私利私欲のため、書物を奪い取ろうとしていることが明らかになり…。
「スペース・レイダース」のハワード・R・コーエンによるホラーコメディ。「悪魔の棲む家」をベースとし、「吸血鬼ドラキュラ」「ローズマリーの赤ちゃん」「ジョーズ」「オーメン」など、古典から最新作(と言っても製作された81年の時点での話だが)までの様々な名作ホラー映画をパロディにした内容となっており、年代が異なる作品同士が平然と同居している様は、まさしく混沌と呼ぶに相応しいものだった。しかしこの映画、パロディのネタが、浴槽にジョーズのような背びれが浮かび上がるとか、壁に「667」と血文字を書くとか、非常に表層的なものばかりなのは厳しかった。一応面白いネタもあるのだが、それは家の怪奇現象の一つとして出てくる「テレビをつけても『トワイライト・ゾーン』しかやっていない」とか、吸血鬼とヘルシング教授との目から光線を出しまくるトンデモバトルとかの、メインであるパロディ以外のネタに限られた。作品の大半においては笑えないネタを受容し続けなければならないので、最後まで観るには結構な忍耐を強いられる作品だった。
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