ギニーピッグ 悪魔の実験        「評価 B」
198X年、「ギニーピッグ」という名前のプライベートビデオが発見された。ビデオには「五感を侵食する苦痛の限界点を求める実験の報告」との注釈が入っており、山小屋に監禁された1人の女が、黒シャツ&黒ズボン姿の3人の男から様々な苦痛を与えられる様子が記録されていた。殴られ、蹴られ、酔わされ、剥がされ、焼かれ、刺され──。凄惨な拷問の果て、女は苦痛の限界点を越え、世界に対する全ての感覚を閉ざしていった…。
そのあまりにも救いの無い内容と精巧な特殊メイクで、観た人間に言い知れぬ不快感を植えつける悪趣味ホラーシリーズ「ギニーピッグ」の記念すべき第一弾。ストーリー性のある「3」以降とは異なり、本作と「2」は擬似ドキュメンタリーの形式をとっており、女が実験と称した虐待によって肉体的・精神的に消耗していく映像をひたすらに流した内容となっている。「ギニーピッグ」シリーズの名物である生々しい特殊メイクは第一作の時点でも遺憾なく発揮されており、顔を何百回も叩かれて目の周りが鬱血していく描写、右腕に150℃の油を流されて赤黒く爛れていく描写、手の甲をメスで切りつけ、その上をハンマーで叩く描写、そしてクライマックスにおける、こめかみから眼球にかけて針で貫かれ、眼窩の奥から黒い血が溢れ出してくる描写──と、どれもこれも本物と見紛うばかりの見事な出来で、たとえ2作目のような極端な人体破壊描写が無くても、胸糞悪い感覚を十分すぎるほどに味わうことができた。その他にも、全身に蛆虫や臓物を撒き散らすといった、視覚的にインパクト抜群な拷問まで用意されていたのも見逃せない。ただし本作、椅子に座らせて何百回もグルグル回しながらウイスキーを飲ませる、金属を引っかく音を大音響で20時間聴かせる、などの精神的に苦痛を与える実験が幾つか盛り込まれていたにもかかわらず、被験体の女が実験開始時点で既に絶望の底に沈んでおり、精神が崩壊していくギャップを拝めなかったのは残念だった。せめて実験当初にそれなりに抵抗してくれれば、拷問後の後味の悪さもひとしおだったのに、と思うと、少々惜しいように感じられた。
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