虐殺のミラージュ 悪夢の人間狩り  「評価 B」
クリスたち6人の男女は、砂漠地帯にキャンプにやってきた。人気の無い荒野で、射的やフットボールをして楽しむ彼らだったが、ふと気がつくと、車に一枚の張り紙がされていた。紙には「おまえらみんな死ぬだろう」との文字が。周りに誰かいる気配はなく、不気味に感じる六人。しかし夜になると全員紙の存在など忘れ、カップルごとに別々の場所に移動して愛を育むこととなった。車の中で一組のカップルが愛し合っていると、突然一台の黒いトラックが接近してきた。トラックは彼らの車に何かを投げ込むと、すぐさま走り去る。怪訝に思いながら注視すると、投げ込まれたモノは手榴弾ではないか。カップルが慌てて車から飛び出すと、程なくして車は爆発炎上した。実はこの砂漠には、侵入者をハンティングすることが趣味のイカれた殺人鬼が住んでいたのだ。殺人鬼は豊富な武装で若者たちを次々と捕らえ、残虐な手口で殺害していく。やがて追い詰められたクリスは、弓矢を携え殺人鬼に立ち向かおうとするが…。
荒涼とした砂漠地帯にキャンプに来た若者たちを、イカれた頭の殺人鬼が襲う、という「サランドラ」と「13日の金曜日」をミックスしたようなプロットのスラッシャー映画。この手の殺人鬼映画の面白さは殺人鬼の魅力で8割方決まると言っても過言ではないが、その点本作は素晴らしかった。本作の殺人鬼は外見こそジーパンに黒シャツを着てサングラスをかけた平凡なオッサンであるが、イカれたオーラをこれでもかと言う位に強烈に放っており、観ればたちまちその魅力の虜となってしまうのだ。まずこいつ、殺害手口からして尋常じゃない。地中に埋めて身動きが取れない状態で、手榴弾を置いて走り去る。寝ているカップルの片割れの喉をナイフで切断し、起きた相方を恐怖に陥れる。「カランバ」のジープ裂きならぬトラック裂きで足をもぐ。トラックで跳ね飛ばしてから、わざわざ歩み寄ってライフルで止めを刺す。弓矢を構えた相手の胸をライフルで撃ち抜いた後、相手の矢を奪って喉に突き刺す──。どれもこれも実に念の入った周到さで、それでいて殺害目的が「単なるハンティング」なのだから堪らない。他にもこの殺人鬼、クリスに対して今まで殺してきた人間の死体を見せ付けて自慢したり、矢で頭を射抜かれライフルで胸を撃たれナイフで腹を割かれても平然と起き上がったきたりと、徹頭徹尾ナイスなモンスターぶりを見せ付けてくれた。不気味なラストもいい味出しているし、良作と呼べる出来だった。
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