ゾンビの秘宝 「評価 D」
アフリカの砂漠地帯にあるグアダレスト・オアシス。樹齢何千年もの木が立ち並ぶこのオアシスには、大きな秘密があった。第二次大戦中、600万ドルの金塊を輸送していたドイツ軍がこのオアシスで連合軍と戦い、全滅した。そのためオアシスの地下には、今尚ドイツ軍の金塊が眠っているというのだ。それを知った元ナチス将校カートは、この金塊を手に入れんと動き出した。彼はまず、当時オアシスの戦いに参加していた男ブラバートからオアシスの位置を聞き出すと、ブラバートを口封じのために殺害し、仲間たちとオアシスへ向かった。早速財宝を掘り出そうとするカートたちだったが、その時急に地面が盛り上がり、ゾンビと化したドイツ軍兵士たちが出現した。兵士たちは金塊を守ろうとする執念が強いあまり、死して尚、オアシスを守り続けていたのだ。カートらはたちまちゾンビに襲われ、命からがら逃げ出した。一方、ブラバートの息子ロバートは、大学にて父の死の報せを受け、ひどく悲しんだ。しかし父の日記を読んで金塊のことを知ると一転。大学の友人たちと共に、財宝を発掘しようと勇んでオアシスに向かうことにした。途中、「オアシスでゾンビに襲われた」と言い残して息を引き取ったカートや仲間たちと出会うものの、ロバートたちはまるで怯むことなくオアシスを目指す。そしていよいよオアシスにたどり着いた彼らは、発掘作業に取り掛かった。ところがその日の晩、案の定ゾンビが出現。欲にまみれた馬鹿学生たちに天罰を下すのだった…。
ゾンビ映画のハイライトシーン集「ゾンビーズ 生ける屍の群れ」にて紹介されていた、ジェス・フランコ監督のゾンビ映画。「ゾンビーズ」ではナチスと連合軍の戦闘シーンばかりが延々と流され、ろくにゾンビの紹介がされないのが不思議だったが、その理由は実際に本作を観ることで痛感した。と言うのも本作、この戦闘シーン以外に見所と呼べる箇所が全く無かったのだ。ゾンビたちはマスクの質感の無さもさることながら、ペインティングが粗雑なため、30年前に死んだとは思えないほど血色がよい奴がいたりして興ざめさせられる。それなのに襲撃シーンではゾンビたちの顔ばかり大写しにされるものだから、映画はさながら「ひどいマスクの博覧会」の様相を呈していたのである。ゾンビ以外にも本作は、共感できる登場人物が誰もいない上に理解不能なラストを迎える脚本、カメラワークの不出来のせいで迫力もへったくれもない襲撃シーンと、目も当てられないような要素に満ち溢れている。ジェス・フランコお得意のエロシーンに関しても、本作は非常に淡白な感じで、印象が薄い。最後まで観るには相当な忍耐を強いられる作品だった。
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