マグニチュード8.2 「評価 D」
ニュージーランドの首都、ウェリントン。多くの人間が平和に暮らすこの町を、突如マグニチュード8.2の巨大地震が襲った。ビルは倒れ、津波は生じ、秩序は崩壊する。この災厄によって数多の人々が命を落としたが、辛くも生き延びた者たちもまた、各々過酷な試練に立ち向かうこととなった。法曹学を勉強していた男は、糖尿病患者を助けるため、インシュリンを求めて暴徒の徘徊する薬局へと向かう。夫と再会する約束をしていた女性は、息子の死という悲劇にも屈せず、夫を探してさまよい歩く。瓦礫と化したオフィスビルに閉じ込められた会社員たちは、助けを呼ぶためにビルの外を目指す。果たして彼らの行く末に待つのは、再び訪れる平穏な日常か、それとも…。
大地震の起こった状況下で懸命に生きようとする人々の姿を追った、ニュージーランド産の擬似ドキュメンタリー映画。TVムービーということもあり、地震によって都市が崩れ行く様は拝むことができず、気がついたら辺りは横転した車で溢れかえっている、といった災害後の風景を写すことで処理されていた。その代わりに本作、ブロック塀の倒壊で車が丸ごと潰される、津波に人間が飲み込まれる、などの個人単位における災害場面は充実しており、人間の姿にスポットライトを当てた作品のコンセプトと相俟って楽しませてくれた。
しかしこの映画、繋がりのない3つのエピソードを平行して追っていく構成でありながら、満足できるエピソードが1つとしてないのは致命的だった。どのエピソードも大きな山場があるわけではなく、気がついたら終わっていたり、唐突に時間が飛んだりで、消化不良のまま終わりを迎えてしまう。どれか1つのエピソードにでもちゃんとした結末が用意されていたら、観終わった後の印象はぐっと良くなっていたのにと思うと、実に残念な出来の映画だった。
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