ディープ・コア2010 「評価 B」
ウエストバージニア州のブラックリバー山。この山で突如発生した大規模な地殻変動は、地割れと地震を巻き起こし、多くの人々を恐怖に陥れた。更に断層は西へ西へと伸びていき、このままでは北米大陸が真っ二つに分断されてしまうことが判明する。そこでアメリカは被害の拡大を食い止めるため、軍事衛星からレーザーを射出させて人工的に地震を起こし、地殻変動のエネルギーを相殺させようとした。ところがいざ実行に移してみると、断層は動きを止めるどころか、向きを変えて火山帯と合流。たちまち周辺の大地はフライパンのように熱くなり、多くの人間を焼死させてしまったのだ。最早この被害を止める術は無いのか。地震学者のエイミーは悩んだ末、爆弾を使って地面に巨大な溝を作り、断層の進行をストップさせる計画を打ち立てた。ブラックリバー山の生き残りである爆破の専門家ブーマーと共に、エイミーはワイオミングの炭鉱地帯に赴き、作戦を実行に移した…。
大陸分断というコンセプトが「合衆国壊滅U 再襲来!M10.5」を彷彿とさせる、地殻変動パニック映画。「ソーラー・ストライク2012」のデヴィッド・マイケル・ラット製作による作品であり、この映画も「ソーラー・ストライク2012」同様、極めて早い段階で大規模な災害を発生させており、メインのストーリーでは近々迫り来る更なる災害を食い止めるために奮闘する人々の姿が描かれている。だがサスペンス要素でお茶を濁していた「ソーラー・ストライク2012」に比べると、本作は「災害を止める」という主目的から決してぶれることなく進行するので、パニック映画としては遥かに楽しむことができた。何と言っても本作、地殻変動によって生じる災害のバリエーションが素晴らしい。冒頭のブラックリバー山における地盤沈下と地割れ、ワシントンDCのビル群を襲う大地震、市街地の至る所で発生するガス爆発、北部の山岳地帯を襲う雪崩、断層にマグマが溢れたことによる地表温度の急激な上昇、と実に多種多彩。それに加えて本作は、ガス管の爆発した火がタンクローリーに燃え移ったので走行しながらタンクを切り離す、レーザーの目標地点に民間人たちのいることが発覚したので射出時刻までに彼らを救出する、といったスリリングな見せ場も充実しており、パニック映画好きには実に嬉しい内容となっていたのだ。ただしこの映画、全体的にVFXが稚拙な上、迫り来る地割れから車で逃げるシチュエーションが作中何度も出てきたのは鼻についた。特に地割れから車で逃げるシチュエーションについては、映画後半になるとすっかり「もういいよ」という気分になるのに、クライマックスの爆破作戦においても同様のシチュエーションが展開される。おかげで肝心のクライマックスにのめり込むことができず、全体としては面白い作品なのだが、どうにも不完全燃焼な印象を受けてしまったのである。
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