アルマゲドン2012 「評価 B」
太陽系内を進んでいた彗星が突然軌道を変え、火星に激突した。どうやら地球付近に暗黒物質の塊が発生しており、その重力に引き寄せられて軌道を曲げたらしい。また暗黒物質は徐々に地球にも影響を及ぼし始め、地球の重力が弱まっていくに伴い、世界各地では洪水や電磁波による被害が多発していた。そこでアメリカの宇宙研究センターでは、天才科学者のトリッシュとトムを呼び寄せ、暗黒物質を消し去るためにはどうしたらいいか、対策案を立ててもらうことにした。彼女らはやがて、暗黒物質を形成する要素を地球から発射し、暗黒物質にぶつけることで暗黒物質が消滅することを突き止める。しかしその要素を確定させるには膨大な時間の計算が必要で、とてもではないが地球消滅までに間に合わないことが判明し、一同は深く落胆した。その頃、ルイジアナ州ラファイエットでは、自閉症でありながら天才的な頭脳を持つテリーが、トリッシュたちと同様の対策案を独自に考案していた。彼は更に、彼女たちが分からなかった計算の解法まで見つけ出しており、これを伝えるために、兄のベン・マーシャル知事と共にヒューストン目指して移動を開始した…。
「アポカリプス 地球最後の日」のジャスティン・ジョーンズ監督による天体パニック映画。本作は原題が「QUANTUM APOCALYPSE」なものだから、てっきりあの大駄作「アポカリプス 地球最後の日」の続編なのではないかと疑い、観る前は戦々恐々していた。ところが実際に観てみると、これが思いのほか良作でびっくりさせられた。終末を前にした世界で人々の絆を描き出すというコンセプトは「アポカリプス」に通じるところがあったが、ダラダラとした会話や長すぎる情景描写といった無駄な要素がほとんど無く、宗教的な押しつけがましいメッセージも出てこず、実にすんなりとストーリーに入り込むことができた。災害シーンはVFXこそ稚拙だが、ニューヨークが津波に飲み込まれる「ディープ・インパクト」ばりのシーンや、暗黒物質によってロンドンの町が上空に吸い上げられていくシーンなど、スケール感に溢れた描写が多くて見ごたえがある。またラストの大どんでん返しには仰天させられたものの、ちゃんと人間関係の状況が改善されていることが示され、後味をすっきりさせていたのは評価できた。あまりにも「アポカリプス 地球最後の日」とはかけ離れた出来なものだから、いったい「アポカリプス」は何だったのか、逆に奇妙に思えてしまう作品だった。
TOP PAGE