ソーラー・ストライク2012         「評価 C」
琴座にて発生した超新星爆発。その衝撃波は200年の時を経て、太陽系にまで到達した。冥王星を始めとする星々はその凄まじい威力によって次々と破壊されていき、地球もまた衝撃波の前兆として、隕石群の落下や大地震、雷や竜巻などの災害がたびたび発生し、人々を恐怖に陥れていた。そんな中、米国は迫り来る衝撃波から地球を守るべく、大気圏外で幾つもの核ミサイルを爆発させ、放射能のバリアを展開させる計画を打ち立てた。NASAのライアンはこの計画を秘密裏に進行させていたものの、ある時、何者かの手によって計画内容を漏らされたらしく、テロリストからの襲撃を受ける。FBIが救援に来てくれたおかげでテロリストは退治することができたが、その後の調べにより、情報漏えいは計画に携わる内部の人間の仕業と判明した。いったい誰が、何のために情報を漏らしたのか。ライアンは見えざる敵におびえながら、中国とロシアの科学者の協力を得て、着々と計画実行への準備を進めていった。一方、彼の妻ローラと娘ティナは、FBIに保護されて安全な場所へと移動していた。ところがその途中、大地震の発生によりFBI捜査官らの乗った車が粉砕。ローラたちは身の安全を確保する場所を求めて、様々な災害が頻発する砂漠地帯を彷徨うことになった…。
「2012」(2008年に作られた方)を製作したデヴィッド・マイケル・ラットによる天体パニック映画。本作は「@平和な状況→A脅威の発覚→B対策を練る→C脅威の襲来→D対策案を実行」という多くの天体パニック映画で踏襲されているプロセスの、@〜Bを豪快にすっ飛ばしたような内容で、既に隕石群が何度も降り注いで大混乱に陥っており、人類が間もなく対策案を実行せんとしている段階からスタートされる。言わばパニック映画の美味しいところを凝縮したような構成で、本作では大規模な災害描写を最初から最後まで心行くまで堪能できる──はずだった。と言うのもこの映画、折角こんな素晴らしい構成をしているくせに、「内通者は誰だ!?」という余計なサスペンスドラマで尺稼ぎがされ、肝心の災害シーンの量は一般的なパニック映画のそれと大して変わりなかったのである。これでは脅威が発覚するまでの過程を省いた意味がまるで無いではないか。しかも本作のサスペンス部分は、バレバレな伏線で興ざめさせられる上、内通者の目的が映画ラストで台詞で説明されるだけという実に投げやりな扱いで、何のために盛り込んだのか本当に理解に苦しむ。FBIの車が落石で吹っ飛ばされるシーンは豪快な描写に惹きつけられるし、雷から逃げる場面はスリルを感じさせてくれるし、災害シーンの出来がそこそこいいだけに、この無駄な尺稼ぎが我慢ならない作品だった。
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