ジュラシック・プレデター        「評価 C」
地球の温暖化はアラスカの氷を解かし、太古より封印されていた恐るべき魔物を蘇らせた。その頃アラスカ州の田舎町ビーバーミルズは、まもなく訪れる夏至の祭りを前に、住民たちが誰もが浮かれ気分になっていた。ただ1人、トラック運転手のジェイクを除いて。先日彼は事故で弟を亡くし、新しい生活を送るために町を出ようとしていたのだ。だがそんな時、住民たちが何かの動物によって惨殺される事件が続発する。動物の姿を目撃したハース大佐の話によれば、そいつは翼の生えた未知の爬虫類らしい。人々は彼の話を到底信じることはできず、一応警戒はしながらも、夏至の祭りは予定通りに開催されることとなった。そして祭りの当日、みんながスペアリブを焼いて楽しんでいる中で、奴は突然現れた。北欧神話に出てくる、翼を生やした二本足のドラゴン"ワイバーン”が。奴の襲撃によって町の広場は大惨事の場と化し、住民たちは直ちにカフェへ立て篭もった。このままでは埒が明かないので、ジェイクたちは状況を打破するために様々な策を巡らせる。しかし、町を脱出しようとしても、幹線道路はワイバーンが破壊した車で埋め尽くされており、外部に助けを求めても、救援のヘリはワイバーンに叩き落されてしまう。最早自分たちの手でワイバーンを倒す以外に、ジェイクたちが生き残る方法は残されていなかったのだ…。
「インクレディブル」「ツイスター2008」のスティーヴン・R・モンロー監督によるモンスターパニック映画。老若男女が安心して観られるように配慮してか、本作において人間がワイバーンに食い殺される場面は、直接写さないか、かなり遠くから見せる程度に抑えられている。そのためワイバーンの暴れっぷりは大して拝むことができなかったものの、代わりに本作のワイバーンは頭のよさを示す描写が数多くなされ、別の側面からの魅力づけが行われていたのである。道路を封鎖して獲物を封じ込める他、捕らえた人間を殺さずに保管し、篭城する人間をおびき出すために利用する、といった理知的な一面を見せるワイバーンは、作中でされた神話におけるワイバーンの説明とはかなりイメージが異なっていたが、なかなかの魅力を感じさせてくれた。しかし本作、ワイバーンこそ良かったが、脚本の方に問題があった。特に主人公ジェイクの「弟の手を離してしまった」というトラウマ話が、ワイバーン退治の際にまるで活用されていないのはどうかと思ったぞ。ストーリー面での盛り上がりに乏しく、他のモンロー監督作と同様、やっぱり一味足りない印象だった。
それにしても、本作といい「地球が凍りつく日」といい「デフロスト」といい「メガ・シャーク vs ジャイアント・オクトパス」といい、近頃は「温暖化の影響で氷が解けて怪物出現」な映画がやたら多いなあ。
TOP PAGE