泣く女(別題:ピンク・ハードボイルド アブノーマル殺人事件)   「評価 D」
私立探偵ジェイク・マスターのもとに、新たな依頼が舞い込んできた。依頼主は、女給ルシールを殺害した容疑で指名手配中の億万長者ドミニック。彼は無実を訴えており、付き人のカーラと協力して真犯人を見つけて欲しいと言うのだ。そこでジェイクとカーラは捜査を開始し、生前のルシールに付きまとっていたという元恋人のラリーが怪しいのではないかと睨み、彼の行方を追うことにした。ジェイクの下半身とカーラの拷問によって次々と情報を集め、2人は彼が滞在するモーテルを突き止めた。ジェイクは果敢にも単身でラリーの部屋に乗り込んだが、敢え無く返り討ちに遭ってしまう。体を縛られ拷問にかけられ、絶体絶命のジェイク。しかしその時、ラリーが何者かによって射殺されたので、辛うじて逃げ延びることができたのだ。これで生き永らえたとは言え、第一容疑者のラリーが殺害されたため、事件は振り出しに戻ったかに見えた。ところが翌日、ジェイクは立ち寄ったバーの何気ない会話から、真犯人の正体に気づいてしまった…。
後に「ロッキー」「ベスト・キッド」で有名となるジョン・G・アヴィルドセンが、駆け出しの頃の71年に監督したトロマ映画。ハードボイルドな探偵モノを徹底的に茶化した内容となっており、まず主人公のジェイクからして、ダンディズムが欠片もない下衆な根性の塊のような存在だ。映画の中ではハードボイルド作品に倣って度々シリアス調の独白が入るのだが、ジェイクがこんなキャラなものだから、語られる言葉も当然「セックスをする時の音楽はクラシックに限る。クラシックぐらいのテンポじゃないとすぐにイッちゃうんだよな」といったお下品極まりないもので、渋さ全開な語気とのギャップで笑わせてくれた。だが本作、このようなハードボイルド作品とのギャップを扱ったネタこそ面白かったが、その他のネタについては、警官のズラが落ちたり車のギア操作を間違えたりといった、お約束中のお約束なネタばかりだった。たとえ下らないギャグでもロイド・カウフマン&マイケル・ハーツ作品のようにテンポ良い内容の中にスパイスとして盛り込まれるのなら存分に楽しめるが、鈍重なテンポの本作にベタベタなギャグを盛り込まれては、かえって薄ら寒さだけが際立ってしまう。コメディとしてはあまり評価のできない作品だ。
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