地獄墓地・死霊のうめき         「評価 D」
ある雨の晩、医者ギャロデは診察の依頼を受け、町外れの古城へ行くことになった。ところがその城は、オルロフ博士なる人物が日夜怪しい研究に取り組んでおり、町の住民たちが誰一人として近づこうとしない危険な場所だった。そのためギャロデが馬車をチャーターして向かおうとしても、馬車の主は途中で恐れおののき、ギャロデを置いて逃げ出してしまう始末。仕方なくギャロデは、雨に濡れながら徒歩で城へと向かった。そして城に辿り着くと、オルロフの娘セシールが彼を出迎えた。近頃城では、誰もいないのに足音がしたり、椅子が宙に浮いたりと、怪奇現象が頻発していた。そこでセシールは、その原因を調査してもらうためギャロデを呼びつけたというのだ。ギャロデは専門外の依頼に戸惑ったものの、依頼は依頼なので調査を開始することに。手始めにオルロフ博士の研究室に入ったところ、部屋に戻ってきた博士に銃を突きつけられた。ギャロデは博士に事情を説明すると、彼はあっさり怪奇現象の真相を明かしてくれた。今から6年前、セシールは命を落とした。オルロフは悲しみながら、彼女に高価な宝石を身につけさせて、地下墓地に埋葬した。ところがその宝石に目がくらんだ使用人のローランドたちが、地下墓地に忍び込んでセシールの棺を暴いたのだ。そして宝石を取り上げようとしたところ、セシールが突然息を吹き返したため、使用人たちは慌てて逃げ出した。彼らはすぐに捕まって地下牢に幽閉され、主犯のローランドは罰として、透明人間を作る研究の実験体をさせられることになった。その結果、ローランドはオルロフに従順な性格の透明人間になったものの、副作用で肉体が変質し、ゴリラのような醜悪な体に。この透明ゴリラと化したローランドがオルロフの身の回りの世話をしているのを、セシールは怪奇現象と見ていたのである。かくして真相は明らかになったが、もう夜も遅かったため、ギャロデは古城に泊まることとなった。そんな中、部屋を抜け出し、地下牢に行ってみたギャロデは、町の住民たちが地下牢に幽閉されているのを目撃する。オルロフは町の住民たちを誘拐し、密かに実験体として使っていたのだ。ギャロデはこのことを知ってしまったため、地下牢に閉じ込められてしまう。しかしその頃、オルロフが目を離している間にローランドが暴走。古城はパニックに陥った…。
ゾンビ映画のハイライトシーン集「ゾンビーズ 生ける屍の群れ」で紹介されていた、透明ゴリラの出てくるゴシックホラー映画。要するに透明人間モノの変り種なのだが、本作のローランドは人間離れした怪力を披露しないどころか、ラストで猟犬に追い回されるほどの非力ぶりで、ゴリラであることを活かした見せ場を与えられていなかったのが残念なところ。ただ「真の姿を暴くカットでインパクトを演出した」以上の意義を見出すことができず、どうにも企画倒れに感じられたのだ。また脚本に関しても、唐突な展開や伏線の放置が多すぎてストーリーにのめりこむことができず、あまり評価はできなかった。そんな本作の唯一の見所は、男性の観客に対するサービスとして用意されているエロシーンだ。本作のエロシーンは、ローランドと共謀した女性使用人が罰として尻を叩かれるシーンといい、透明ゴリラにメイドがレイプされるシーン(要するに女が1人で悶えているだけだ)といい、いずれもアングラチックなシチュエーションで展開される。この陰惨な感じが古城という舞台とマッチして、作品のムードを盛り上げるのに一役買っていたのである。
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