ゲシュタポ卍死霊軍団 カリブゾンビ 「評価 C」
カリブ海にて、数名の男女が島巡りクルージングツアーに参加していた。ところがある晩、クルーザーは難破船と衝突し、船体を損傷。航行不能となり、やがて近くの島へと流れ着いた。まず船長が島の様子を確認するために上陸したが、いつまで経っても船長は戻ってこない。不審に思った他の者たちが島に上陸してみると、海岸には船長の溺死体が。いったい船長の身に何が起こったのか。一行は戦慄しつつも探索を開始し、島の中央部に建てられた、朽ち果てた豪邸へと辿りついた。そこには老人が1人で暮らしており、老人は一行に対し、屋敷の近くに繋いであるボートで直ちに島を脱出するよう促した。彼らは老人を怪しみながらも、ボートがあるという場所に向かって移動する。ところがその途中、ゴーグルをつけ、ナチスの軍服を纏った謎の集団に襲撃され、彼らは1人また1人と命を落としていった。たまらず一行は屋敷に戻り、老人から連中の正体について問い質す。すると老人は、恐るべき秘密を明かした。第二次大戦中、ドイツ軍の研究者だった老人は、好戦的な兵士たちを改造して不死の軍団を作り上げた。しかし敗戦の気配が濃厚になってくると、上層部は不死兵士の処分を命じた。そこで老人はカリブ海のど真ん中で、兵士たちの乗った船を海底深くに沈め、彼らの存在を隠匿しようとしたのだ。だがそれでも死ねない兵士たちは、時折難破船を抜け出し、近くの島を徘徊するようになった…。
「バタリアン2」のケン・ウィーダーホーン監督による、ゴーグルをつけたゾンビ軍団のビジュアルで有名な南国怪奇映画。本作のゾンビ軍団は元々戦闘のプロな上、改造人間という設定のため、物凄く寡黙。常に無表情で口元を引き締め、陸だろうと水中だろうとお構いなしにスタスタ歩いて標的を始末するので、ゾンビというよりはサイボーグに近い印象だ。実際、本作のゾンビたちが接近してくる時に得られる恐怖感は、彼らに襲われるかもしれない焦燥というよりも、むしろ彼らがロボットのような非生物感を漂わせていることに対するものであり、ゾンビ映画としては極めて異質だった。また、長年暗い海底で生活していたためか太陽光が極端に苦手で、ゴーグルが外れるとてんかんを起こして卒倒する──という設定も、ゾンビとしては少々情けないが一風変わっていて面白い。しかしこの映画、登場人物たちの死因が全て溺死だったのはどうにかならなかったのか。水中でも自由自在に動くことで不死身な肉体をアピールしたかったのだろうが、おかげで襲撃シーンは非常に地味になっていて、本末転倒であるように感じられた。
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