邪淫の館・獣人           「評価 C」
舞台は中世フランス。エスペランス家は、ここ数年の凶作により財産を失い、没落しつつあった。そんな時に跡継ぎのマチュランが、文通をして知り合ったブロードハースト家のルーシーと結婚することが決まる。ルーシーはブロードハースト家の財産の全てを譲り受けており、もし2人が結婚したらエスペランス家を再建できるということで、一族の者たちは誰もがマチュランの結婚を祝福していた。ただ1人、大叔父を除いて。大叔父は、マチュランの、ひいてはこのエスペランス家全体にかかわる重大な秘密を、ルーシーに明かさずに結婚させようとする一族の者たちに、顔をしかめていたのだ。そうこうしている内に、ルーシーが叔母と共に屋敷へとやってきた。婚礼の準備も着々と進み、いよいよ翌日2人は結婚することに。だがその晩、マチュランは飲みすぎが祟って命を落としてしまった。思わぬ事態に愕然となるルーシーだったが、叔母がマチュランの腕のギプスを外し、服を剥いだ時、その驚きは一段と強いものとなった。マチュランの腕はクマのように毛深く、背中には獣のような長い毛が生えそろい、あまつさえ尻尾が生えていた。今から200年前、エスペランス家の祖先ロミルダは、領地内の森を歩いていたところ、発情中のクマに遭遇した。クマはロミルダを捕まえて押し倒し、無惨にもレイプした。この時からの隔世遺伝により、マチュランは醜悪な獣人として生を受けたのである…。
「インモラル物語」「夜明けのマルジュ」等、数々のヨーロピアン官能映画を製作したヴァレリアン・ボロヴツィク監督による獣姦映画。冒頭でいきなり馬のセックスが映し出され衝撃を与えるが、その後はエスペランス家のお家事情や結婚式準備についての話が、低いテンションのままダラダラ進行してゲンナリさせられる。貴族の豪邸を舞台にしている割には、近い視点からのフィックス撮影がやたら多く、それぞれの部屋の広さをまるで実感できないのも厳しいところだ。しかしこの映画、クライマックスのクマによる獣姦シーンは素晴らしかった。本作のクマは男優が着ぐるみを被っており、獣姦と言うよりは一種の変態プレイといった印象だ。枝にぶら下がったロミルダが足をじたばたさせると、足が偶然クマのチンポをしごいておりクマが射精する──というアホらしさ抜群なシチュエーションといい、切羽詰った状況のくせに優雅で軽快なチェンバロ演奏がバックに流れてほのぼのさせる演出といい、極めてクレイジーな雰囲気が漂っていたのである。
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