ポルノ・グラフィティ 排せつ       「評価 D」
マーブル劇画の作家エルモは、編集社のロバートから激しい叱責を受けていた。エルモの漫画はどれもこれも過激な性表現で満ちているため、検閲担当のフリーダ女史から苦情が来たのだ。ところがロバートは、エルモを怒鳴りつける傍ら、机の上でフリーダとセックスを始めた。こんなエロオヤジの話など聞いちゃいられない。そこでエルモは表面上は彼の話を聞きながらも、頭の中では自分が描いた漫画の主人公になり、ヒロインたちとセックスする妄想に耽るのだった…。
邦題に反して排泄するシーンは一切出てこない、色んなコミックスの世界でエロス三昧が繰り広げられる模様をオムニバス形式で描いたポルノ映画。コミックスの世界と言ってもアニメーションは一部に使われているだけに留まり、エロシーンも含む殆どの場面は実写で撮影されていた。そして本作では、四つのコミックスが登場する。まずは「ルイジアナ・スミスの冒険」という、インディ・ジョーンズっぽい秘境探検モノだ。南米のピラミッドで謎の部族に捕らえられたヒロインを助けるため、ルイジアナ・ジョーンズが颯爽と登場。このまま大立ち回りを見せるのかと思いきや、いきなり部族の女とセックスを始める──なんてストーリーだ。二番目は戦争モノの「フライング・エース」。1918年の南フランスで、解放軍の戦闘機パイロットとして活躍していたジョニーは、戦いの途中で被弾して市街地の近くに不時着する。すると淫乱な町娘2人が助けに来て、ジョニーは彼女たちの家でしっぽり。だが町を占領していたドイツ軍人が彼女たちの家にやってきてさあ大変──というお話。三番目はハードボイルドな「私立探偵ジャック・ハマー」の登場。ジャックはペルシャの遺産が盗まれる事件を追う途中、美人秘書や犯人グループの一員を抱きまくる──って筋書きだ。そしてラストに控えしは、スペースオペラ「成層圏冒険」。建設労働者トニーはある日、たまたま近くにいた美女と一緒に光線にさらわれてしまう。2人をさらった犯人は銀河系売春宿を取り仕切るメガゾンという悪党で、地球の美女に惚れ込んで結婚相手にしようとしていた。そこでトニーはメガゾンを殴り飛ばした。かくしてトニーは美女と無事に結ばれた──なんて粗筋である。どれもこれもストーリー展開が唐突で知能指数0%な能天気さに溢れており、観ていると物凄く頭が痛くなってくる。ただこの映画で使われているアニメーションは、絵画チックな絵柄といい写真のコラージュの仕方といい、明らかにテリー・ギリアムの手法が踏襲されていた。このチープかつシュールなアニメーションが、どうしようもない内容の本作に、単なる緩いだけに留まらない魅力を与えていたのである。
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