地球が静止した日           「評価 D」
突如地球に飛来した、666体の巨大ロボット。メガリスと名づけられたそれらは、自らに危害を加える者を怪光線で消滅させるため、世界各国はその扱いに困っていた。そんな或る晩のこと、アメリカの山中に小型の飛行物体が着陸し、中から男女2人の人間そっくりの宇宙人が現れた。2人は軍に保護され、巨大ロボットとの関係を問い詰められた。するとスカイと名乗る女性の宇宙人が、自分たちの素性を明かした。何でも彼女たちは、地球人が宇宙にとって危険な存在かどうかを確かめる存在らしく、もし地球人を危険な存在と判断した場合、メガリスたちが地球を攻撃するらしい。それを聞いた軍の上層部は、彼女たちを凶悪な侵略者と断定。スカイと男性宇宙人を人質にとり、メガリスが攻撃できないように仕向けようとした。ところがそれが仇となり、世界中のメガリスたちは地球人を危険な存在と見なした。彼らは地軸に向けて一斉にエネルギーを送り込み、地球の自転を停止させようとしたのだ。軍はそれを阻止するため、ナウル島のメガリスを核爆弾で破壊するものの、そもそも地球上の全てのメガリスを破壊することが難しいので、事態はなかなか好転しなかった。一方、兵士マイロンはそんな上層部のやり方に嫌気がさし、メガリスによる地球攻撃のドサクサに紛れてスカイを救出。2人は軍に追われる身となるが、逃走する最中、教会で救いを求める人々や、赤ん坊を出産する人など、様々な人間に遭遇する。そんな善良な人間たちの姿を見たスカイは、少しずつ人間に対する認識を改めていった…。
「ランド・オブ・ザ・ロスト」のC・トーマス・ハウエル監督が、「地球の静止する日」をスコット・デリクソンとは別解釈でリメイクしたSF映画。「地球の静止」がオリジナル版と違って文字通りの意味になっていたり、「宇宙人が地球人の善悪を判別し、もし悪と分かったら地球そのものを破壊する」という手塚治虫の「W3」に近いプロットになっていたりと、スコット・デリクソン版よりも一段と脚色の強い内容となっていた。しかしこの映画、中盤でナウル島に核爆弾を落とし、メガリスもろとも数千人の一般市民を殺す描写を入れたのがまずかった。こんな最悪な地球人の姿を映し、あまつさえ核攻撃を指示した人間を非難する描写が何一つないものだから、ラストでどんなに人類への希望を説かれても完全に上滑りしていたのである。ひょっとしてこれは「所詮2人の判別者だけでは人類全体のことなんか分からないよ」というブラックジョークではないか、とすら思えてしまう映画だ。
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