恐怖! キノコ男          「評価 D」
科学者サイクスは、生物のDNAを書き換える薬を作るため、家の地下室に閉じこもって研究に明け暮れていた。そんな彼の健康を心配した両親は、気分転換をさせるため、山奥のペンションで一週間の休養をとることを薦めた。サイクスはその話を承諾し、完成したばかりの新薬を持ってペンションへと向かった。ところが玄関に入ろうとしたとき、彼はうっかり転倒し、薬の入った試験管を落としてしまう。薬は自生していたキノコにかかり、その影響でキノコは残酷無情なキノコ男へと変貌を遂げたのである。キノコ男は鋭い牙で獲物を食らうのみならず、胞子を撒き散らして仲間を増やしていき、たちまち山はキノコ人間だらけになってしまった。この事態を知ったペンションの管理人ジェイドは、他の宿泊客たちと協力してサイクスをボコボコにして椅子に縛り付けた後、キノコ男たちの掃討にとりかかる。しかし次々と増殖するキノコ男軍団に太刀打ちできず、彼女らは次第に押されていった。そんな時、たまたま手元にあったバルサミコ酢を振りかけてみたところ、キノコ男たちはあっと言う間に消滅していった。奴らの弱点はバルサミコ酢だったのだ。そこでジェイドたちは、ペンションにあるバルサミコ酢の樽を爆破し、キノコ男たちを一掃しようと企てた…。
「怪奇! 兎男」と同レーベルからリリースされた、商業ルートに乗ったこと自体が奇跡と言っても過言ではない内容のモンスターパニック。「怪奇! 兎男」と同様に低予算であることに完全に開き直ったかのようなチープ極まりない出来で、作品の主役であるキノコ男は「フラフープを持った人間がキノコの形になるように布をかぶっているだけ」という壮絶さ。胞子を撒き散らすカットや新しい個体が誕生するカットなどではCGも使われているが、そのクオリティといったら質感なんて言葉とは無縁で、異様にテカテカした表面が悲しい。小さいキノコ男たちが死体に群がるなんてグロテスクな場面もあったりするが、その時使われている死体の顔はどう見てもお面そのものだった。勿論製作側はこのチープさを自覚しているため、作中には、サイクスがキノコ男と仲良く暮らす妄想に浸ったり、キノコ男が腕を生やして宿泊客とプロレス勝負をしたりといった、シュールな脱力ギャグの要素も織り込まれている。だがどうも悪乗りしきれておらず、「怪奇! 兎男」と同様に中途半端な印象になっていたのがいただけなかった。そんな本作だが、キノコ男との決着のつけ方が「怪奇! 兎男」と違ってちゃんとしたものになっており、一応モンスターパニック映画としての筋を通していたのは良かった。この点に関しては「怪奇! 兎男」に勝っていた作品だ。
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