女子高生vs狼男 「評価 C」
女子高生ローレンの家の隣に、ジャレドというイケメン男性が越してきた。また同じ頃から、町では女性たちが次々と行方不明になる事件が発生。ローレンは、行方不明になる女性たちがみんな前日に彼の家を訪れていることに気づき、ジャレドを疑うように。更にジャレドは両手が妙に毛深く、火を極端に恐れるなど、明らかに只者ではなかった。文献を調べていくうちに、彼が狼男ではないかと考えたローレンは、対抗する武器を仕入れるため、友人のスティーブと共に町の銃専門店へと出かけた。だが自分の正体を悟られたことに気づいたジャレドが、ペットの魔獣を引き連れて店に襲撃をかけた。たまたまその場に居合わせた人気ハンター番組に出演中の往年の大スター・レッドの協力によって、ローレンたちは辛うじてジャレドと魔獣を撃退する。しかしその際、スティーブがジャレドに噛まれ、彼は狼男へと変貌を遂げてしまった。その上ジャレドはローレンの弟カイルを誘拐し、ローレンを家に誘き寄せる。そこでローレンは、スティーブを狼男の呪いから救うため、カイルを救出するため、レッドと共に銀の矢と銃弾で完全武装してジャレドの家に乗り込んだ…。
「女子高生サバイバル・ドライブ」に続く、アルバトロス・フィルム発の女子高生シリーズ第五弾。まさに「フライトナイト」の狼男版といった内容で、基本的なストーリーとキャラ配置はそのまんま。登場する狼男が、配下として黒い犬を引き連れている、火を恐れる、噛まれた人間が第二の狼男になる、といった原典に忠実な特徴を持っており、主人公たちが古典怪奇小説などの知識からそれに立ち向かう点も「フライトナイト」と同じで、怪奇ファンなら二重の意味でニヤリとさせられる作品だ。また本作、特殊メイクやVFXもなかなかの出来で、とりわけ全身の筋肉が剥き出しになった魔獣のデザインと、人間から狼男に変身する際の特殊メイクは、グロテスクさが存分に出ていて圧巻だった。クライマックスの対決も二転三転する展開が面白く、単品のホラー映画としても十分に満足できる内容となっていた。
ただしこの映画、「フライトナイト」のヴィンセントのポジションにあたる人物レッドが、あまり活躍してくれないのは残念だった。折角レッドが悩んだ末に本物のヒーローになるため彼女を助けようと決断するシーンが盛り込まれているのに、肝心のクライマックスがローレンとスティーブの独壇場となっており、彼は完全にオマケ扱い。怪奇番組ホストという役柄から怪奇映画の豊富な知識を活かして主人公を助けたヴィンセントと違い、本作のレッドは狩猟経験があるとは言え、普通のオオカミについての知識しか持ち合わせていない。そのため古典的な狼男についての知識はローレンが独自で学ぶことになったため、レッドの活躍の場が完全に奪われていたのだ。「フライトナイト」のヴィンセントが好きだった人間としては、本作のこの点がどうにも我慢ならなかった。
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