女子高生サバイバル・ドライブ 「評価 B」
ステファニーたち5人の女子高生は、夜の森でドライブをしていた。道に迷った彼女らは、近くの店に車を停め、店の人間に道順を訊ねた。だがその時、悪ふざけで1人の友人を置き去りにしたまま発車しようとしたら、うっかり別の車に衝突してしまった。困った彼女らはそしらぬ顔で逃げ出そうとするが、すぐにぶつけた車が後を追ってきた。幾ら急いで逃げようとしても、焦りで道順を間違える上、相手の車が猛スピードで走ってくるものだから、たちまち彼女らの車は行き止まりに追い込まれる。すると相手の車のドアが開き、その中から鬼のような形相をした中年女性が、血まみれのスーツを着てショットガンを携えて現れた。この女は当て逃げの件よりもむしろ、「自分の大切な男性をステファニーたちに誘惑された」と思いこんでいるために憤慨しているらしく、わけの分からないことを喚き散らしながら彼女たちを車から引き摺り下ろすと、彼女たちに様々な屈辱的行為を強制させた。しかし女の怒りは時間の経過と共にエスカレートしていき、どんどん彼女たちに暴力的な仕打ちをするように。このままでは命が危ない。ステファニーたちはこのキチガイ女から身を守るべく、決死の反撃を試みるが…。
「女子高生ロボット戦争」以来、実に3年ぶりにリリースされた、アルバトロス・フィルムの女子高生シリーズ第四弾。全編手ブレしまくりなハンディカメラで撮影されている作品で、舞台が夜であることも相俟って、何が起こっているのか見えないシーンが非常に多く、正直キチガイ女との最初のカーチェイスシーンの辺りまでは本作を「素人レベルの駄作」ぐらいにしか感じていなかった。ところがキチガイ女が姿を見せた瞬間から、本作は理不尽かつ陰惨な暴力の嵐が吹き荒れる素敵極まりない内容へと急変してしまうのだ。キチガイ女が女子高生たちに対して行う仕打ちは、初めこそ服を脱がせたり放尿させたりといった恥辱のレベルだったのが、やがて歯を折る、足にドライバーが埋まるほど刺し込む、ショットガンで撃つ、バッテリーの電流を流す──といった、無惨すぎる折檻と拷問のオンパレードに。対する女子高生側も、彼女の車に排泄したてホカホカのウンコを投げつけたり、親の遺灰をばらまいたり(!?)、車ではねたり、ハンマーで殴ったりと懸命に応戦するものの、映画はラスト寸前までずっとキチガイ女側の有利なまま進行するため、それらの反撃がことごとく徒労に終わるのが鑑賞していて痛々しかった。さて、本作に「何が起こっているのか見えないシーン」が多いのは先述のとおりだが、上に挙げたような暴力場面では泣き叫ぶ女子高生たちの声やキチガイ女が使う金具の音など、背筋を凍らせる諸々の音がハッキリ聴こえるように作られていたのがミソ。このおかげで、たとえ暴力表現が見えなくても、そのおぞましさは十分すぎるほど伝わるようになっていたのだ。むしろ本作、ちゃんとした撮影で作られていたら正視に堪えない内容になるので、敢えてハンディカメラで撮影したのかもしれない。矢継ぎ早に繰り出される圧倒的なバイオレンス描写によって最後までぐいぐい引き込まれていく、思わぬ佳作だった。
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