ニンジャ in L.A.        「評価 C」
ロサンゼルス。テツロー率いる麻薬シンジケートが裏社会を支配するこの町で、悪を滅ぼすべく戦う1人の男がいた。彼の名はリュウ。先祖代々影の暗殺者をしてきた、筋金入りのニンジャだ。ある日リュウはいつものように、麻薬の取引現場に乱入し、シンジケートの構成員たちを切り伏せていった。だがその中で、彼らが肉体から肉体へ魂を乗り移らせていることに気づく。知り合いの僧侶にこのことを報告したところ、これはオニという、魂を別の肉体に転移させることで不死であり続ける怪物の仕業と判明した。シンジケートの構成員はテツローを始め全員がオニであり、幾ら倒しても別の肉体に憑依して蘇生してしまうというのだ。そこでリュウは僧侶にオニを倒す方法を訊ねたところ、僧侶は「オニの魂を取り込んでも操られることがないような、魂を持たない人間を探せ」と答えた。一方、ソロモン神殿の騎士団に所属する男カインは、幽閉していた悪魔ベルゼブブから、ロサンゼルスで悪霊が勢力を伸ばしていることを聞かされる。早速現地に飛んだ彼は、オニにとり付かれた麻薬シンジケートを叩き潰すべく戦闘を開始した。そして、ある取引現場。ここでは運び屋のマックスと仲間たちが、シンジケートの構成員に対して法外な料金を請求していた。これに怒った構成員たちは、マックスたちに自らの魂の欠片を憑依させ、支配下に置こうとする。しかしどういうわけか、他の人間とは違い、マックスだけは彼らの魂をとりこんでも支配されることがなかった。その後、取引現場にリュウとカインが乱入。マックスは2人によって助け出されたのだが、リュウは彼こそが魂を持っていない人間であると確信した。ニンジャのリュウに、騎士のカイン、そして強欲なマックス。3人の男たちは今、ロサンゼルスのオニたちに立ち向かうべく協力関係を結んだ…。
ロサンゼルスに巣食う悪霊に敢然と立ち向かうニンジャたちの雄姿を描いた、オカルティックニンジャアクション映画。魂を憑依させて不死であり続ける怪物とニンジャの戦いという基本プロットは「ニンジャV 転生ノ章」を彷彿とさせるが、本作ではそれに加えてソロモン騎士団を登場させ、悪霊に西洋的解釈をつけることにより、「アメリカでニンジャが謎の敵と戦っている」ことに対する違和感をできる限り削いでいた。戦闘シーンについても、刀や手裏剣を使うリュウに、肉弾戦が主体のカイン、そして二丁拳銃を操るマックスと三者三様で変化に富んでいたのが楽しい。リュウがトンチキな忍術を使わず、あくまで現実に即した戦い方を貫いていたのも嬉しいところだ。一方で「永遠」「中国龍」と書かれたパネルや掛け軸が飾ってある寺院の風景や、「ソレハ、ジブンデ、エランデ、イルカラダ」と奇妙な発音の日本語をしゃべる僧侶など、80年代ニンジャ映画を思わせる笑える日本ネタも健在。ただ惜しかったのは、リュウ役の役者の日本語が、笑って済ませる範囲を遥かに超えている拙さだったことだ。彼の日本語はブツブツと途切れ途切れにしか聞き取ることができず、おまけに本作の日本語台詞には字幕が付かないものだから、何を言っているのかどうにも理解することができなかったのだ。
アメコミっぽさを狙った画面構成が完全にすべっている、ラストが消化不良、などの欠点も多いのだが、ニンジャ映画の中では良作と言える作品だった。
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