昆虫怪獣の襲来 「評価 C」
人類が宇宙開発に熱を上げていた時代。二人の科学者ブレイディとモーガンは、宇宙空間が動物に及ぼす影響を調べるため、様々な動物を乗せた数本のロケットを宇宙に飛ばしてみた。その結果、殆どのロケットは無事に回収されたのだが、一機だけ軌道を外れて中央アフリカに墜落した。するとロケットに乗せられていたスズメバチは、宇宙の放射線を浴びたことで巨大化しており、その巨体と毒針で人間や動物を次々と血祭りにあげていったのである。半年後、新聞でそのことを知ったブレイディとモーガンは、慌てて現地に赴いてスズメバチの退治に乗り出すことにした。だが巨大スズメバチたちは予想以上に手強く、銃弾も爆弾も通用しない。もはやこれまでかと思われたとき、神の怒りなのか、スズメバチの巣食う火山が大爆発を起こした…。
やたらと頭のでかい巨大ハチのビジュアルと、わずか3週間で撮影されたことで有名な、58年のモンスターパニック映画。本作の巨大スズメバチは、宇宙から帰ってきたら宇宙線の影響でモンスター化していたという、「宇宙忍者ゴームズ」や「ウルトラマン」のジャミラ、「溶解人間」などの先輩と言える存在だ。実物大モデルやビデオ合成、ストップモーションアニメなど、多彩な手法を用いてその巨体が表現されており、とりわけ映画序盤で山の向こうから巨大な顔を覗かせる様はインパクト抜群だった。だがその後の場面ではいきなり縮小化されており、実物大モデルと人間が絡む場面ではせいぜい象と同サイズだったのにはガックリときた。またこの巨大スズメバチ、動作が物凄く緩慢で、ストップモーションアニメで大蛇と格闘する場面では少し頭を動かしただけで大蛇を倒してしまうし、退散するブレイディたちを追いかける場面ではあまりにもノロノロ動いているので緊張感が皆無だし、ビジュアル面以外での魅力があるとは言い難かった。しかしこの映画、秘境探検映画としては結構楽しむことができた。中でも探検に女性がついていくことについて、「私が同行すると言ったら村の男たちも面子のために同行せざるを得なくなる」という理由付けがされていたのは目から鱗。「ローハイド」のエンドレ・ボームが書いた脚本は、3週間で作られた即席映画に高い満足感を与えてくれたのである。
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