トランスモーファー リターンズ        「評価 D」
21世紀の地球。アメリカのエドワーズ空軍基地は、宇宙から発信された謎のメッセージを傍受した。その直後から世界各地では、様々な機械が変形して人間を襲う事件が続発する。ロズウェル事件の頃より密かに進められていた、超ロボット生命体トランスモーファーたちの地球侵略計画が、遂に実行に移されたのだ。無線兵器のプロフェッショナルであるジェイクは事態を察知し、彼らの計画を阻止せんと奮闘する。だが幾ら敵を倒したところで、宇宙からは新たなトランスモーファーたちが続々と送り込まれ、人類は瞬く間に追い詰められていったのである…。
「トランスモーファー 人類最終戦争」の前日譚として製作された作品──なのだが、監督と脚本家が変更されたせいか、前作の冒頭で語られていた「地球人が宇宙に友好メッセージを送ったら宇宙人が攻めてきた。宇宙人の隕石攻撃で地上は荒廃し、地球人は止むを得ず地下に潜ることになった」という流れが、本作では丸っきり無視されていた。宇宙人が攻めてきたのは大戦直後からだし、地球人が地下に潜らなければならなくなった事情についても、前作の説明とはだいぶ異なっている。余計な混乱をしないためにも、両作品はパラレルだと割り切って観た方がいいだろう。
そんな本作だが、トランスモーファーのデザインがぱっとしないところだけは前作をしっかり踏襲していたから困りもの。しかもトランスモーファーたちの攻撃手段は、ミニサイズの奴も巨大な奴も、みんな等しくレーザーだけ。どんな巨大なトランスモーファーが出てきても細いレーザーをチマチマ撃つだけなので、迫力も何もあったものではなかった。
また脚本の方も今一つな出来で、とりわけ後半の展開は酷いの一言。トランスモーファーたちの目的を考えていたジェイクは、奴らが今度は水を汚染させて大量虐殺するかもしれない──と推測する。すると何の根拠もないその推測を基にジェイクたちは、送水路の防衛作戦を立てて、武器を手に送水路へと向かうのだ。これだけでも相当に頭が痛くなってくるが、更に送水路に行って見ると、そこでは偶然にもトランスモーファーたちが地球改造プラントを建造しており、偶然そこにいたレジスタンスの話から、世界各地の近況とトランスモーファーたちの真の狙いを知り、ジェイクたちは最後の戦いへと臨むのである。このあまりにもいい加減な展開には、脚本家の「さっさと書き上げて飲みに行こうや」という心の声が聞こえてきそうだった。
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