ジュラシック・アイランド         「評価 D」
南太平洋に浮かぶ小さな島。激しい潮流と暗礁に守られたその島には、恐竜の生き残りたちが住み着いていた。先の大戦中に偶然島の上空を通り、恐竜を目撃したテッドは、恐竜が生存していることを社会に広めるべく、婚約者のキャロルと共に島の撮影に行くことにした。2人はシンガポールで船をチャーターし、同じく島に行ったことのあるフェアバンクスという男の案内のもと、島を目指した出発した。途中、島を恐れる船員の反乱があったものの、一行は何とか目的の島までたどり着く。やはり島には数多くの恐竜や巨大ゴリラが棲息しており、テッドは目を輝かせて写真撮影に没頭する。ところが生きた恐竜を目の当たりにしたことで、タナウスキー船長は「恐竜を生け捕りにして大金を稼ごう」と邪な考えを抱くことになった。彼は船長としての権限を振りかざし、恐竜を生け捕りにするまで帰らないと言い始めたのだ…。
世界初の天然色怪獣映画であると同時に、ティラノサウルスの着ぐるみの出来があまりにも酷いことで一部で有名な作品。本作のティラノサウルスの着ぐるみは、短めの手足や長い胴といった各パーツの作りこそ間違っていない。しかし問題は、中に人間が入ることを全然考慮に入れてなかった点だ。本来ならば大きく前傾姿勢になって本物らしく見せるところなのだが、足を短く作っているせいでそんなことが可能なはずもなく、結局直立姿勢のまま全くポーズを変えることができないという、何とも無惨な有様になっていたのである。おまけに足が短いせいで前に進むことも満足にできず、一歩進むごとにいちいち体を左右に大きく揺らさなければならないのが哀愁を漂わす。同じ着ぐるみ肉食恐竜でも、「キングコングの逆襲」に出てきたゴロザウルスとは造形に雲泥の差があった。
さて、本作のティラノの最大の見せ場は、クライマックスにおける巨大コングとのガチンコバトルだ。この巨大コングも鼻の周りが毛深くて相当に情けない外見をしているのだが、そんな両者の戦う様は、激しく抱き合った状態でお互いの首筋や肩に噛みつくという「どんなプレイだ!」と言いたくなる代物だった。着ぐるみの都合上、まともに立ち合ったらティラノが不利なのは目に見えているから、このような戦い方になったと推測される。しかしそれにしても、抱き合って噛み合い続けるだけのバトルシーンは何ともいえない寂寥感に溢れていた。
こんな風に酷い恐竜・怪獣が幅を利かせている本作において、前半に出てきたディメトロドンだけはそこそこの出来だった。恐竜映画におけるディメトロドンといえば「地底探険」に出てきた本物のトカゲに背びれをつけた奴が有名だが、本作ではパペットとしての御出演。這って歩くタイプの恐竜なので、殆どの関節が動かないようなパペットを使っても違和感なく見ることができ、本作における清涼剤となっていたのだ。
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