エイリアン パンデミック         「評価 D」
アイルランドのとある牧場。ここでは繁殖力が強く成長の早い牛を作るための、遺伝子操作の実験が行われていた。ところが神をも恐れぬ実験は、思いもよらぬ魔物を生み出してしまった。研究者たちが産まれたばかりの子牛を調べたところ、その胎内から別の生命体が発見された。こいつは他の生物の体に潜り込んで内臓を食い荒らすばかりでなく、噛み付いた生物を感染させ、その子どもに自分の分身を宿らせるという恐ろしい性質をもっていた。おぞましき生命体の出現により、たちまち牧場は惨劇の場と化す。牧場主のダンは、滞在中のカップルと協力し、この生命体を殲滅するために奮闘するが…。
終始暗く重苦しい雰囲気が漂う、アイルランド製のモンスターパニック。生命体はグロテスクな芋虫状の姿をしており、寄生した生物の中からニュルニュルと這い出てくる様子がなかなかにイカしていた。しかし襲撃シーンが問題で、ただでさえ画面が暗いのに、カメラが生命体にズームしすぎているものだから、何が起こっているのかサッパリ分からない有様だった。おかげで生命体の恐怖を満喫することができず、モンスター映画としては大いに魅力不足だった。また本作、後味の悪いエンディングを迎えたのに、エンドロールで唐突に明るい音楽が流れるのも何だかなあと言う気がする。序盤の子牛の出産シーンでは、子牛の足にロープをくくりつけて滑車で引きずり出したり、子牛が息をしていないので足をつかんでぶん回したりといった過程が陰鬱な演出で描写されて雰囲気を盛り上げていただけに、中盤以降もそれに見合った陰惨さを引き立てて欲しかったところだ。
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