トランスバトラー         「評価 A」
2012年、凶悪エイリアン"バラン”の軍隊が地球にやってきて、攻撃を開始した。世界各地は壊滅的な打撃を受け、フィリピンでも、パライソと呼ばれる居住区に僅かな人々が暮らすのみとなった。パライソを守って戦い続ける男クリスバルは、ある時パライソに住む仲間ジャーコンの裏切りに遭い、バランの軍隊に捕らえられてしまう。ジャーコンは、バランが目の仇にしているクリスバルの身柄を渡す代わりに、パライソからのバランの撤退を約束させたのだ。ところがバランの司令官ハデスは約束を破り、部下にパライソへの攻撃を命じる。愕然としたジャーコンは、バランに組していた元地球人のディーコンと共にクリスバルを解放。そして自らの命と引き換えに、クリスバルとディーコンを逃がすのだった。パライソに戻ってきたクリスバルたちは、町長の息子アンヘロたちが開発したパワードスーツに乗り、襲い掛かってきたバラン軍を撃退する。だがバラン軍がいつまた攻めてくるか分からない。そこでクリスバルはパライソの仲間たちと共に、バランとの全面戦争に臨むことを決心する。今、パワードスーツと超兵器が入り乱れる最終戦争の幕が切って落とされた…。
荒廃とした近未来で、超ロボット非生命体トランスバトラー(要するにパワードスーツ)に乗り込んで戦う男たちの活躍を描いたSFアクション大作。みんな気軽に敵母船に乗り込みすぎとか、短期間で凄い兵器作りすぎとか、帝王弱すぎとか、内容自体は突っ込み所の多い作品だ。しかしこの映画、それが瑣末なことと思えるほどに戦闘シーンの出来が素晴らしかった。クリスバルが走行中の車の間を飛び移りながら戦う場面。アンヘロたちが自転車やスケボーを巧みに乗り回しながら、バイクに乗ったバラン軍を撃退する場面。バラン軍のパワードスーツに少女が襲われそうになった時、颯爽とクリスバルのパワードスーツが現れてパワードスーツ同士の戦いに発展する場面。パライソを襲撃してきたバラン軍の戦艦を、少年がお手製のボンベミサイルで撃墜する場面。クライマックスで何体ものパワードスーツが入り乱れて戦う中、突然アンヘロとバラン軍幹部が「お前との決着は素手でつけよう」と言い出してパワードスーツを降り、本当に素手で戦い始める「コマンドー」ばりの場面。帝王とのバトルこそアレだったが、殆どの戦闘シーンが男心をくすぐるシチュエーションのもとで進行しており、観ていて終始テンションが上がりっぱなしだった。続編がありそうな感じの終わり方だったので、ぜひとも続きを観てみたい作品だった。
(余談だが、本作の序盤には自動車を改造して作られた、しょっぱいデザインの半人型兵器が登場する。こいつがトランスバトラーじゃなくて本当に良かった…)
TOP PAGE