U.M.A.2010             「評価 C」
パリで建築史学を研究しているジャックは、自分の論文がなかなか出版社に認めてもらえず苦悩していた。そこで元妻のキャロルは、彼に新しいイマジネーションを与えるため、取り壊しの決まった古い教会の探索へと誘った。教会の地下墓地に残されていた、見たこともない壁画や彫像の数々に目を輝かせるジャック。ところがこの墓地には、太古より眠り続けていた邪悪な魔物、ガーゴイルが棲みついていたのである。闇の中から現れたガーゴイルに驚いたジャックは、キャロルを連れて大急ぎで教会を後にした。教会から離れ、難を逃れたかに思われた二人。しかしキャロルは探索中にガーゴイルの卵を拾って持ち帰っていたため、その日の晩にガーゴイルに襲撃され、命を落としてしまった。彼女の死に悲しんだジャックは、その無念を晴らすため、超常現象レポーターのニコルたちと協力し、ガーゴイルの存在を証明しようとするが…。
「かつてガーゴイルのような生物が実在していたかもしれない」と考える学者を主人公とし、ガーゴイルをU.M.A.として扱っているのでこんな邦題になっている、RHI社製のモンスターパニック映画。さすがRHI社の作品だけあってVFXの質はなかなかのもの。肉感溢れる姿のガーゴイルが獲物を狩る光景は、本作の大きな魅力となっていた。しかし本作、ガーゴイルの退治方法が明らかになる過程が、丸々すっ飛ばされていたのは気にかかった。本作のガーゴイルは強い光を浴びれば石化するのだが、それが観客に明かされるのは「ガーゴイルは光を浴びれば石化するだろう」というジャックの台詞から。それまで何の伏線も張っていなかったのに、唐突にこんな台詞が飛び出し、そして本当にガーゴイルはストロボの光を浴びて石化するのだから、観ていてどうにも釈然としなかった。相手は未知のモンスターなのだから、退治方法に納得できるような解明過程を設けて欲しいように感じられた。
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