恐怖のモンスターパニック 吸血巨大ヒル襲来!    「評価 D」
田舎町の湿地にて、数日前から行方不明になっていた男が、遺体となって発見された。男は大量の血を吸われて失血死しており、体にはイカのようなものに張り付かれた吸着痕が。どうやら何かの動物に襲われたようだが、町の保安官はそれ以上については深く調べようとはしなかった。しかし湿地管理官のスコットにとって、湿地に何か得体の知れない生物が棲んでいるとなれば大問題である。彼は恋人らと協力し、独自に湿地に棲む何かの正体を探ることにした。一方その頃、湿地のすぐ側では欲求不満な人妻が若い男と逢引きしていた。それを目撃した夫は激怒し、銃で二人を脅し、湿地の中へ追い込んだ。とその瞬間、水中から巨大なヒルが飛び出し、二人に襲い掛かったのだ…。
「巨大毒蟲の館」「エイリアン・ゼロ」のジェフ・オブライエン脚本による、「吸血怪獣ヒルゴンの猛襲」のリメイク作。スコットが逡巡するばかりで一向に進まないストーリー、とても湿地の底とは思えないヒルの巣の描写、無理に原典をなぞろうとして完全に破綻しているクライマックスの対決──などなど、旧作より明らかに劣化している箇所が多く、おおよそ評価できるような代物ではなかった。特に酷いのが吸血ヒルで、あの味わい深い造形のヒルゴンが、デザインセンスの欠片もない、ただの黒い巨大ヒルにされているのだから悲しかった。おまけに本作の吸血ヒルはヒルゴンと違って水中を泳ぐ描写も無いし、それどころかサイズが格段に小さくなっている都合上、動く時は中に人間の手が入って動かすという東京コミックショウ状態で失笑させられる。50年前に作られた「吸血怪獣ヒルゴンの猛襲」にまるで及ばない、駄目なリメイクの見本と言える作品だった。
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