カルティキ 悪魔の人喰い生物      「評価 B」
マヤ文明が消えた謎を探るために中米の密林を探検していたジョンたちは、不死の女神カルティキを祀る神殿を発見した。そこには生贄が身につけていたと思われる金銀財宝と、アメーバ状の人食い生物が。人食い生物に襲われてパニックに陥る一行だったが、ジョンがガソリンを積んだトラックを激突させると、怪物は炎上して見る見るうちに縮んでいった。その後、ジョンたちはこの謎めいた生物の肉片を祖国に持ち帰り、詳しく研究を行うことにした。その結果、怪物は2000万年もの長きにわたり生き続けていたこと、そして放射線を浴びれば巨大化することが明らかになった。そんなある夜のこと、ジョンは研究所から緊急の連絡を受けた。何でも放射線照射装置の操作を誤り、施設内に保管していた怪物の肉片が巨大化を始めたらしい。そこで急いで研究所に出かけるジョンだったが、その頃、地球の側を1つの彗星が通過した。すると彗星の影響で大気中の放射能が一時的に上昇。ジョンの自宅に置いてあった別の肉片が巨大化し、彼の妻子を襲い始めたのである…。
「怪獣ウラン」「マックィーンの絶対の危機」と並ぶ、50年代後半に製作された三大アメーバ映画の一本。怪物の退治方法に趣向を凝らして怪獣映画としての面白みを追求した「怪獣ウラン」、当時流行していたティーンエイジャー映画の要素が入っていた「マックィーンの絶対の危機」と比べると、本作は怪物に食われた人間の骨が剥き出しになる残酷描写といい、顔と片腕を溶かされた男がジョンの妻を逆恨みで付け狙うサブエピソードといい、怪奇的な要素を前面に押し出した内容となっていた。特に残酷描写に関しては、今観ても十分に衝撃を味わえるカットが幾つも出てきて、この頃からイタリア映画の残酷志向は変わらないのだなあ、としみじみさせてくれた。もちろん怪獣映画としての見所もふんだんに盛り込まれており、巨大化した怪物が家具を圧迫してメリメリ壊していく重量感溢れる描写や、家が怪物に覆われていく中での妻子の救出劇、そしてクライマックスの火炎放射器や戦車隊による巨大アメーバ掃討戦と、最後まできっちり楽しませてくれる。サブエピソードが本筋とうまく絡むことができず、全体的なまとまりが悪くなっていたのは気になったが、魅せる所はしっかり魅せるサービス精神に溢れた作品だった。
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