デフロスト 「評価 B」
カナダ北極圏、バンクス島。この凍りつく大地でクルーペン博士率いる調査団は、温暖化がシロクマの生態に与える影響を調査していた。そんな中、彼らは氷の中に閉ざされたマンモスの死体を発見する。数日後、クルーペン博士の娘エヴリンを始め、数名の学生たちが博士の研究を手伝うためにバンクス島へとやってきた。ところが調査団の研究施設はもぬけの殻で、ただ実験台に載せられたシロクマの死体があるのみだった。博士たちは何処に消えたのかと、首を傾げる一行。しかしやがて、学生たちの中から謎の病気にかかる者が出始め、施設内はパニックに陥る。先日クルーペン博士らが発掘したマンモスの死体には、太古の寄生虫が潜んでいた。それは研究者たちの体に潜り込んでは卵を植えつけ、瞬く間に調査団を壊滅させていたのである…。
ヴァル・キルマーが地球の未来を憂える科学者に扮している、寄生虫スリラー映画。序盤はクルーペン博士たちとエヴリンたちの状況を目まぐるしくザッピングしながら展開するため、何が何やら分からない感じだったが、そこを過ぎて話の焦点がエヴリンのみに当てられるようになってからは、寄生虫と人間のゲロゲロな攻防に終始興奮を味わい通しだった。とにかく本作、寄生虫関連の嫌らしい描写の数々が素晴らしいの一言。主役となる寄生虫はエビとゴキブリを足して2で割ったような容貌をしており、どんな生物の体内にも素早く潜り込んでは卵を産み付ける。卵は膿のような形で体表に現れるので、寄生された生物はたちまち出来物だらけのおぞましい姿にされる。更に体内を虫が動き回ることで体調に異変を来たし、嘔吐や血尿といった症状に苦しむことになる。本作ではこんな寄生虫の恐ろしさが、グロテスクさ百花繚乱な描写で表現されちゃうのだからたまらない。施設内のシロクマの死体は寄生虫にとりつかれ、最初の頃は小さな傷口しかなかったのに、次第に体の至る所が腐り出し、終盤になると全身を寄生虫にたかられて無惨な姿に変わり果てしまう。腕に寄生された男は寄生虫の被害が全身に及ぶのを防ぐために、包丁で腕を切り落とそうとする。しかし一度では切れなかったので、何度も包丁を振ってやっと切断する。他にも顔の傷口から寄生虫がひょっこり顔を覗かせたり、体内から寄生虫をほじくり出そうとしたり、と思わず背筋の冷たくなるような嫌悪感百点満点の場面が次から次へと出てくるこの映画。ゲロ映画魂をギンギンに滾らせた快作だった。(でも本作の登場人物たち、異常な死に方をしている死体や未知の病気にかかった人間を、平気で素手で触っていたのは頭が悪すぎると思うぞ)
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