バトルフィールド TOKYO        「評価 B」
2003年1月17日。ロス在住の姉妹サラとエリンは、温暖化についての取材を行うために東京の環境省へとやってきた。合同庁舎の中で環境省の人間に会い、色々と話を聞く彼女たち。しかしその時、轟音と共に大きな揺れが生じた。窓の外を見ると、遠くのビルが炎上している。避難を命じられる人々。出動する軍隊。何が起こったのか把握できないまま、サラとエリンはパニックに陥った東京を駆け回ることとなった…。
「クラーケンフィールド HAKAISHIN」「クローンフィールド HAKAISHI」「ダイナソーフィールド SATSURIKUSHA」「HAKAIJYU 破壊獣」と、「クローバーフィールド HAKAISHA」のDVDリリースに併せて大量にリリースされた、似た邦題の作品群。それらの大半は単なるモンスターパニック映画で、ちっとも「クローバーフィールド」の面影を感じさせてくれなかったが、「メガ・シャーク VS ジャイアント・オクトパス」のデヴィッド・マイケル・ラットが製作した本作だけは例外と言っていい。本作は全編がビデオカメラによる撮影の似非ドキュメンタリー作品であり、しかもその内容が「怪物の出現によりパニックになった大都市」なものだから、物凄く原典に近い雰囲気を味わうことができたのだ。まあ要するに「クローバーフィールド」の露骨なパクリ映画であり、本家と同程度の災害を扱っているものの、ビル炎上や建物崩落といった派手な破壊描写が全て遠くからの撮影になっているため、妙にスケール感に乏しく、本家ほどの興奮を味わえないのが厳しかった。一方で、本家「クローバーフィールド」には無い、本作ならではの見所もある。それはズバリ、随分とたどたどしい喋り方をする日本人たちだ。本作は舞台が東京ということで、多くの日本人が出てくる。しかし外国映画における日本人の法則に倣って、この映画に出てくる日本人キャラの殆どを演じているのは他の国のアジア人たち。おかげで本作を観ている間、回転寿司屋の店主が「デテイケ! ココニハ何モナイヨ!」なんて言っては笑いがこみ上げ、彼女らのホテルが麻布にあることを知った警官が「アザブゥ〜」と答えては吹き出し──といった感じで、要所要所で笑えてしょうがなかった。中にはちゃんとナチュラルな日本語を使える日本人も出てくるだけに、おかしな喋り方をする日本人キャラの奇異さが一層際立っているのもポイント高い。外国映画におけるインチキ日本が好きな人間ならば、楽しめること請け合いの映画である。
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