モンスター・オブ・ザ・デッド ビキニビーチの惨劇      「評価 C」
湖の近くにある田舎町、カマロビルで凄惨な殺人事件が発生した。被害者は腹を無残に切り裂かれており、現場には水かきのついた足跡が。それを見た三流ゴシップ記者のアーチーは、事件を湖に住むと噂されている半魚人の仕業と確信する。早速この考えを確かめるべく、彼と友人たちは湖のそばの半魚人が住んでいそうな洞窟に乗り込んだ。すると洞窟の奥には、無数の白骨体と、ナマズのようなマヌケ面をした半魚人が。見た目によらず凶暴な半魚人に襲われ、アーチーたちは大慌てで逃げ出した。その後、彼らはダイナマイトを用いて怪物を退治しようと試みたが、作戦は見事に失敗し、半魚人の怒りを買うだけであった。しかも怒りの収まらない半魚人は洞窟を抜け出し、浜辺のディスコで開催されていたゴーゴーダンス大会に乱入。ゴーゴーを踊るビキニギャルたちを、次々と血祭りにあげていった…。
不細工なナマズ男がゴキゲンなダンス大会を震撼させる、JVDの「DEEP RED」レーベルでリリースされたモンスター映画。製作スタッフ全員が全くの無名であり、尚且つJVDの「DEEP RED」レーベル作品ということで、正直本編を観る前は全く期待していなかった。ところがいざ観てみると、ハリボテ同然なモンスターの安っぽい造形と、ビキニギャルが沢山出てくるけど濡れ場のないぬるいお色気、そして徹底的な人体破壊描写が、それぞれ絶妙なバランスで配分されており、駄目な要素はわんさかあるのに最後まで楽しめてしまう奇跡のような内容だった。特に目を引くのがゴアに対する拘りで、半魚人に襲われて首や足が食いちぎられるのなんて当たり前。アーチーの友人が爆死するシーンでは、怪物を退治するために用意した時限爆弾が誤作動し、このままでは仲間たちが危ないことを悟った友人が、意を決して爆弾の上に覆いかぶさる。直後、爆発音と共に大量の血が飛び散る。普通のグロ映画ならばこの時点で友人は無数の肉片に変わり果てているのだが、本作ではそう簡単に事を終わらせない。まだ友人には意識が残っており、彼が朦朧としながら起き上がると、腹に大きな穴が開き、大量のモツがこぼれている悲惨な有様が露わになる。それをわざわざ観客に見せ付けてから、友人は大量出血して倒れ、命を落とすのである。このような「もっと観客に嫌な思いをさせてやるぜ」という悪意に満ちたゴアシーンが幾つも用意されている一方で、その惨劇を起こしている怪物がアホ面のナマズ男なのだからたまらない。良く出来た部分とひどい部分との落差が激しいので、肩肘を張らずダラダラ観ながら楽しむのに最適な作品だった。
TOP PAGE