メガ・シャーク vs ジャイアント・オクトパス 「評価 C」
アラスカ州チュトコ海。この凍てつく海域に米軍が投下した低周波レーダーは、150万年前より眠る恐ろしき怪物、メガロドンと巨大タコを現代に蘇らせてしまった。二体は太平洋内をジェット機よりも速いスピードで動き回り、目に付くものを片っ端から破壊していく。鯨が、旅客機が、石油採掘基地が、金門橋が、二体の手によって次々と無残な姿に変わり果てていった。業を煮やしたアメリカ軍は海洋生物学者エマの協力のもと、それぞれの怪物をフェロモンで誘き寄せてミサイルで撃破する作戦を打ち立てる。ところが実際に行ってみると、二体ともミサイルなんか物ともしない頑丈さで、たちまち作戦は失敗に終わってしまった。こうなったら最後は核兵器を使うしかない、と軍が考えている中、エマは二体の怪物がチュトコ海で争っている最中に凍りつき、150万年の眠りについたことに気づく。メガロドンと巨大タコは、互いに天敵同士だったのである。そこでエマは、二体の怪物をフェロモンで一箇所に集め、互いに激突させる作戦を考えた。フェロモンに誘き寄せられ、チュトコ海にて150万年ぶりに相見える二体。今ここに、第二次サメタコ大戦の火蓋が切って落とされた…!
海洋モンスター映画界の二大スター、サメとタコが互いのプライドをかけて激突する、「モンスターアイランド」のジャック・ペレス監督によるモンスターパニック映画。何に置いても度肝を抜かされるのは、本作のメガロドンの巨大さである。「ディープ・ライジング コンクエスト」に出てきたクルーザーを丸呑みにするサイズのメガロドンでも十分すぎるほどの衝撃だったのに、本作のメガロドンのデカさときたらそれを遥かに凌駕しており、米軍の戦艦を食いちぎり、金門橋を一噛みで切断してしまう。おまけにこのメガロドン、ただデカいだけでなく、何千フィートもの高度を飛行している旅客機を水中からのジャンプで叩き落とすなんて超絶芸当まで見せてくれるのだから恐ろしい。改造生物の類を除けば、あらゆるサメ映画の主役たちの中でもブッチギリの強さを誇ると言っていいだろう。一方でライバルの巨大タコはと言うと、無数の触手で石油基地を襲撃したり、低空飛行中の偵察機を海中から伸ばした触手で叩き落したりといった暴れ様を見せ付けてくれるものの、それらの破壊描写は「水爆と深海の怪物」や「オクトパス」などに出てくる巨大タコのものと大差ない印象で、あまりインパクトは感じられなかった。しかしこんな欠点は、本作が持つ大きな欠陥に比べれば、まだ全然許せてしまうレベルだ。本作の中にある最大の問題点、それは肝心の二大怪獣の対決シーンが全然盛り上がらなかったことである。序盤の潜水艇がトラブルに見舞われるシーンの時点で薄々感じていたが、本作は水中の場面の描き方が物凄く下手だった。簡素な台詞と分かりにくいレーダーの画だけで状況を説明しているものだから、観ている側は潜水艦と怪獣たちとの位置関係を把握できず、水中で何が起こっているのかをまるで理解することができない。サメとタコが戦っていたかと思えば、気が付いたらタコがいなくなっていて、潜水艦がサメに襲われ、またいつの間にかタコが出てきて──と、「どうしてこんな状況になっているんだ?」と首を傾げながら観るために、どうしても二大怪獣の激突に集中することができなかったのだ。更に対決の結末も煮え切らない感じだったし、堂々巡りなやりとりの多い脚本も鼻に付く。メガロドンの凄まじい暴れっぷりが素晴らしかっただけに、その他の部分の不出来が悔やまれてならない映画だった。
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