デッドリー・スポーン 「評価 A」
舞台は田舎の一軒家。青年ピートは両親が留守の間、友達たちを招いて勉強会を行うことにした。ところが訪問してきた友人の1人・エレンが、近くで拾ったという奇妙な生物を持ってきた。それはサンショウウオのような外見をしているが、口には鋭い歯が無数に生えており、見たことのない形状をしていた。そこで面白半分に解剖を始めるピートたちだったが、まだ彼らは知らなかった。この生物"デッドリー・スポーン”が、宇宙からやって来た暴食生命体であることを。そして、家の地下室に棲みついたデッドリー・スポーンの成体が、ピートたちが解剖しているのと同じ姿の幼生態を、無数に産み出していたことを…。
御存知「喰うためだけに生まれてきた」極悪エイリアン、デッドリー・スポーンの活躍を描いたスプラッターモンスター映画。妙に狭い舞台設定や、場面ごとの繋がりが不可解な編集、そしてチープな特殊メイクと、非常にインディーズ臭の漂う作品であるが、それらの悪条件を軽々しく跳ね除けてしまうほどの、豪快かつ陰惨な残虐表現の数々が本作最大の武器である。まず主役のデッドリー・スポーンからして、嫌らしさの体現と言っていい存在だ。肉の塊から消化管のような首が無数に生えているだけでも十分にグロテスクな形状なのに、更に各個の首のサイズに統一感を持たせなかったり、歯の並び方を不規則にしたりすることで、生物としての整った機能美を破壊し、一段と異形らしさを際立たせているから堪らない。本作はそんなデッドリー・スポーンの血みどろ捕食プレイが目白押しで、顔の皮をゆっくり剥ぎ取っていく、人間の頭を食いちぎって胴体だけになった体を窓の外に弾き飛ばす、捕食の邪魔をした別の首を共食いする──など、どれもこれも単品で十分作品最大の見せ場となれるインパクトを持っているから、観ている方としては常にテンション上がりっぱなしだった。おまけに幼生態たちの方も、ミキサーでミンチにされてパーティー中のオバサンたちに食べられたり、壁の絵画の裏にびっしり張り付いていたり、死体の喉を食い破って出現したりと、親に負けない嫌悪感満点なショック描写の数々で観る者を虜にしてくれる。製作者たちの素晴らしいゲロ映画魂に、ただただ感服するしかない作品だった。
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