ジョーズ・イン・ジャパン          「評価 D」
2009年7月。女子大生のミキと麻衣は、夏の思い出作りのために南の島の海岸へとやってきた。彼女たちが泊まることになったロッジは、貸切同然の穴場ビーチに隣接した絶好の場所で、おまけにビデオカメラを無料で貸してくれるというサービス付き。2人はロッジに荷物を置くや否や、水着に着替え、ビデオカメラを片手に浜辺へと繰り出した。青い海ではしゃぎ合いながら、カメラでお互いを撮影し、テープに思い出を記録していく。しかしそのうちに、麻衣がロッジ管理人の知り合いであるイケメン男といい感じになっていき、ミキは次第に蚊帳の外に追いやられてしまう。一人きりになったミキがロッジの中で退屈そうにしていたところ、ベッドの下から一本のビデオテープが見つかった。何の気なしに再生してみると、ここのビーチではしゃいでいる、三人の水着ギャルたちの姿が映し出された。彼女たちはミキたちと同様に、一本のビデオカメラで互いを撮影しあっており、どうやら以前このロッジに宿泊した客らしい。更にテープを進めていくと、水着ギャルの1人が例のイケメン男といい関係になり、ビーチ付近の岩場で2人きりになっている場面が。ところがその時、画面の中のイケメンは急にナイフを取り出すと、目の前の水着ギャルを刺し殺したではないか。テープはそれからも続き、残る2人が次々とイケメンに惨殺されていく様子が断片的に記録されていた。あのイケメンは美女を虜にした上で惨殺するのが大好きな、世にも恐ろしき殺人狂だったのだ。ミキは青ざめ、麻衣にこのことを知らせるべくロッジを飛び出した。折りしもその頃、麻衣はイケメンと2人きりで岩場に立っており、イケメンの気分次第で今にも殺されてしまう危険な状況下にいた。しかも海では、死の気配を感じ取ったのか、巨大なサメが彼女たちの元へと接近していたのである…。
南の海にやってきたグラビアアイドルたちが殺人鬼やサメに遭遇し、海の危険を学習するVシネマ。「ジョーズ・イン・ジャパン」なんてタイトルをしているにもかかわらず、サメがマトモに姿を現すのはラスト3分程度。それまでは完全にイケメン殺人鬼の凶行を綴った南国シリアルキラー映画であり、元々ホラー映画として作っていたのに無理矢理サメを登場させてサメ映画にでっち上げたのではないか、と邪推したくなるような作品内容だった。
もしこれでタイトルに「ジョーズ」なんて付いておらず、それでいて前半部分がそこそこ面白ければ、唐突なサメの登場もブッ飛んだラストシーンとして評価できたのかもしれない。だが本作は、その前半部分が決定的につまらないから困りもの。作中では同じビデオテープの映像が何度も繰り返し流されて癪に障るし、イケメン殺人鬼の殺害シーンはビデオカメラで撮影されている都合上、肝心の殺害する瞬間が、妙に遠くからの撮影だったり手振れが激しすぎたりで、何が起こっているのかまるで分からず欲求不満だけが溜まりに溜まる。グラビアアイドルたちのセクシーな肢体が見所と言ったら見所だが、さすがにそれだけを30分も40分も見せられたらテンションも下がってくる。そんな状況で巨大サメを見せられても「頼むから早く終わってくれ」以上の感想が出てこず、どうにも楽しむことができなかったのである。
余談だが、本作のDVDに収録されていた同じ会社のVシネマ「爆乳戦隊パイレンジャー」の予告編が、イカれたオーラをギンギンに放っていて強烈だった。中でも「パイパイパパイ、パイレンジャー! A・B・C・D・E・F・G〜♪」という狂気に満ちた主題歌が秀逸で、後悔するのは目に見えているのに、無性に本編を見たい衝動に駆られてしまうから恐ろしい。
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