インクレディブル            「評価 C」
ペンシルベニア州の小さな町、エレンズフォード。19世紀半ば、この町は疫病による死者が続出していた。町の者たちはワラにもすがる思いで、町に住む怪しげな魔術師ヘンリー・バートレットに事態の解決を依頼する。するとヘンリーは怪しげな魔術を使い、地獄の怪物オーガと契約。町の住民は病で死ぬことのない肉体を得た代わりに、毎年一人、人間をオーガの生贄として捧げることとなったのだ。そして現代、エレンズフォードは誰も見つけることのできない幻の町とされ、その存在を信じるのはオカルトマニアぐらいのものとなっていた。そんな中、ペンシルベニア州にキャンプにやってきたマイクとジェシカは、同行していた友人が骨折したため、助けを呼ぶべく森の中をさまよっていた。古びた柵を越え、彼らが辿り着いたのは、あろうことかエレンズフォード。そこには150年近く前と変わらない姿の住民たちが住んでおり、彼らに発見された2人は、檻に閉じ込められ、次のオーガの生贄にされることとなってしまった。儀式の晩、まずはマイクが生贄に選ばれ、町の中央の広場に磔にされる。闇の奥から巨体を現すオーガ。万事休すかと思われた時、ヘンリーのやり方に反対していた娘のポーラ・バートレットが駆けつけ、間一髪のところでマイクを救出してくれた。同時にジェシカも助け出していた彼女は、2人を町の外へと案内する。マイクたちはポーラに一緒に逃げようと提案するが、ポーラは町から出ると死んでしまうことを理由にそれを断った。なんでも町の中はオーガの力で時間が止まっているため、住民が外に出ると150年の時間がいっぺんに流れて肉体が消滅するらしい。その頃、生贄を失って怒り狂ったオーガは、町の住民を次々と惨殺していた。ヘンリーの手を以ってしてもオーガを止めることはできず、彼は鋭い爪で腹を割かれ、命を落とした。怯える住民たちに対し、ポーラは今こそ団結してオーガを倒すべきと呼びかける。心配になって町に戻ってきたマイクとジェシカも彼らに協力し、共にオーガを葬るための作戦を立てることとなった…。
「HAKAIJYU 破壊獣」「ツイスター2008」のスティーヴン・R・モンロー監督によるオカルトモンスタームービー。同時期にDVDリリースされた「インクレディブル・ハルク」を彷彿とさせる邦題からも分かるとおり、本作のオーガはまんまハルクをハゲにしたような容貌をしている。本家ハルク同様、小細工を用いずに圧倒的なパワーを振りかざす戦い方を得意とするが、本作のオーガは正義の味方ではないので、腕をもいだり頭を踏み潰したりと、その戦闘スタイルは残酷そのものだ。この映画ではそんなオーガの血みどろプレイが数多く描かれているが、残念なことに殆どの場面において「オーガが腕を振りかざす→体の大部分を失った死体が写される」といった殺害の瞬間をカットした編集がかけられており、オーガの暴れっぷりを期待していた身としては鬱憤が溜まってしょうがなかった。幸いにも一番の残酷場面である「生首食いちぎり」がノーカットで拝めたのは良かったが、CGで描かれたオーガの動きが妙にぎこちないこともあり、どうにもオーガの魅力に乏しい印象を受ける作品だった。
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