ダイハード・ビクセン 地獄の巨乳戦士 「評価 C」
高層ビルの一角に事務所を構えている女性下着会社"アクメ・ランジェリー”。雷が鳴り響く夜、事務所ではドーンら五人の女性社員らが夜間業務に勤しんでいた。スプリンクラーの誤作動によりずぶ濡れになった彼女らは、シャワーを浴び、セクシーな下着に着替えて仕事を続行する。ところが間違って配達されてきた古い箱を開けた直後から、ビルの内部では何者かによる連続猟奇殺人事件が発生した。アクメ・ランジェリーの社員たちが次々と惨殺され、彼女らの死体を目の当たりにしたドーンらは、犯人がビルの管理人オーヴィルであると確信する。何故ならオーヴィルは、数年前に発生した女子寮連続殺人事件の犯人と噂されており、日ごろから不審な言動が目立っていたからだ。そこでドーンたちはオーヴィルから身を守るべく団結し、やがて近づいてきたオーヴィルを、ビルの屋上から突き落とすことに成功する。ところが、惨劇はまだ終わらなかった。ドーンたちの前に、オーヴィルに殺されたと思われていた同僚のダイアナが、マシンガンを携えて現れた。そして男性のような野太い声を発しながら、彼女たちに向けて発砲を開始したのだ。実は先ほど開けた古い箱には、数年前の女子寮連続殺人事件の真犯人である黒魔術師ホックステッターの魂が封じ込められていた。ダイアナは彼の邪悪な魂に憑依され、ビル内で凄惨な殺人劇を繰り広げていたのである。予想外の展開に戸惑い、逃げ惑うドーン。だがそんな所に、思わぬ助っ人が駆けつけてきた。辛うじて一命を取り留めていたオーヴィルが、数年来の因縁を晴らすために舞い戻ってきたのだ…。
「クイ込む下着に冷汗がにじみ、銃撃の振動が巨乳を揺らす! 今、命を賭けた女たちの戦いが始まる!!」というビデオの宣伝文句がイカしてる、コーマン門下のジム・ウィノースキー製作によるお色気アクションホラー。ランジェリー姿の美女たちによるお色気、黒魔術の箱によるオカルト、謎の殺人鬼によるスプラッター、マシンガンの撃ち合いによるバイオレンスアクション──と、B級映画の要素がこれでもかと言う位にてんこ盛りにされており、ジム・ウィノースキーが如何にコーマン流の映画精神を忠実に受け継いでいるかが窺い知れる作品内容となっていた。
そんな本作だが、ビデオパッケージで大々的に宣伝されているランジェリー美女たちのガンバトルは大して楽しむことができない。主人公のドーンが銃を装備するのは映画のクライマックス直前になってからだし、装備してからもダイアナに対しては全くの無力。そのダイアナも男性の悪霊が乗り移っているという設定上、野太い声を鳴らしながらガニ股歩きでマシンガンを乱射する有様で、セクシーさがこれっぽっちも感じられなかったのだ。死体がダストシュートから落ちる際に「ヒュー……ドン」とSEが鳴ったり、オーヴィルがビルの屋上から落ちる際にカメラが大げさに揺れたりと、やたらとカートゥーンチックな演出が盛り込まれていたのも理解に苦しむところだ。その代わりに本作の見所となっていたのが、影の主役と言うべきオーヴィルの不死身ヒーローぶりである。何せこの男、ナイフで刺されても、首を絞められても、高層ビルの屋上から突き落とされても、真正面からマシンガンの銃弾を雨あられに受けても、どういうわけか数分で息を吹き返してくるのだ。こんな規格外の存在に付け狙われたら、悪霊だって堪ったものじゃない。本来の怪物よりも存在感を放っている、実に強烈なキャラクターだった。
TOP PAGE