シャーク・イン・ベニス        「評価 C」
海洋学者のフランクスのもとに、悲報が届いた。ベニスにてメディチ家の隠し財宝を探していた父が、水路を探索中にスクリューに巻き込まれて死亡したというのだ。その知らせに驚いたフランクスは、急いで婚約者のローラと共にベニスに赴き、父の無残な死体と対面した。だがその死体を見たフランクスは、首をかしげた。死体の傷口が明らかにスクリューによるものでなく、鮫に襲われたものだったからだ。フランクスはこのことをベネチア警察のトッティに告げるが、彼はベニスに鮫がいるなんて聞いたことがないと言う。それでも父の死に何か裏があると睨んだフランクスは、事件の真相究明をしたいと警察に申し出た。しかし「ベニスにいるかもしれない鮫を探している」なんてことが世間に知られたら、観光地ベニスにとって死活問題となってしまう。そこで警察は48時間だけ、フランクスとローラに調査の許可を与えることにした。かくして調査を開始した二人は、父の遺品を調べてみることにした。すると父が財宝の隠し場所として、水路から入れる地下空洞に目星をつけていたことが明らかになる。早速二人が水路に潜り込んでその場所に行ってみると、父の目論見どおり、そこにはメディチ家の財宝が隠されていた。二人は大いに喜び、引き返そうとしたが、その矢先に何処からともなくホオジロザメが現れ、フランクスに襲い掛かってきた。フランクスは負傷しながらも、ローラと共に辛うじて鮫から逃げ延びた。しかし災難は続くもの。やっとの思いで生還した彼らの前に、メディチ家の財宝を探していたマフィアが現れた。マフィアの連中は財宝を先取りされるのを防ぐため、水路に鮫を放っていたのである。彼らによってローラを人質にとられたフランクスは、財宝の隠し場所まで案内するように脅されるが…。
ベニスを舞台に財宝の争奪戦が展開されるアドベンチャー映画。DVDパッケージではサメが前面に押し出されているものの、実際の作中におけるサメの扱いは実にいい加減なものだった。何度か織り込まれるサメの襲撃シーンは、違うアングルからの細かいカットを連続して繋いでいるものの、編集が下手なために何が起こっているのかさっぱり分からない。マフィアの連中はサメの存在を把握しているはずなのに、何の対策もしないで水路に潜るものだから次々とサメの餌食になって哀愁を誘う。おまけに映画後半ではサメが民間人を襲い始め、いよいよ事態が重大になったというのに、映画は財宝の行方にケリがついたところでパタリと終わってしまい、サメの処遇については完全放置のまま。もしサメの活躍を期待して本作を観てしまうと、そのあんまりな扱いに、幾度となくずっこけること必至である。
そんな鮫映画としては落第点もいいところな本作だが、幸いにもマフィアとのアクションシーンに関しては満足のいく出来だった。特にチェーンソーを持ったマフィアとの対決シーンは、サメの存在を忘れさせてくれるほどにスリリングに撮られており、大きな見せ場となっていたのである。
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