実録 リアル食人族 「評価 D」
合衆国41代副大統領ネルソン・ロックフェラーの息子、マイケル・ロックフェラー。彼は1961年にニューギニアを探検中に消息を絶っており、その行方は20世紀最大の謎の1つとして、未だ多くの人々の興味の的となっている。そんな中、彼を見つけたら100万ドルが貰えるという新聞社の話に乗せられ、マンディ、コルビー、マイキー、ビジューの4人の若者たちは、2台のビデオカメラを携えてニューギニアの密林へとやってきた。地元の住民の証言やGPSを頼りに、少しずつマイケル・ロックフェラー失踪事件の真相へと近づいていく一行。だがやがて、四人は探検への意識のズレから互いに衝突するようになり、とうとうマイキーとビジューはマンディとコルビーを置き去りにし、勝手に密林の奥へと移動してしまった。二人の浅慮な行動に憤りつつも、彼らを追って動き出すマンディたち。しかしその頃、マイキーたちは現地の食人民族の墓を荒らしたために凄惨な報復攻撃を受けていたのだ。さらに原住民たちの怒りは収まるところを知らず、マイキーらを探しにきたマンディたちにも向けられた。この惨劇の行方は、残されたビデオカメラだけが知っている…。
「ジュマンジ」「アルマゲドン」等の脚本家として知られているジョナサン・ヘンズリーが監督を務めた食人族映画。探検の目的が特定の人物の捜索になっている、殺されるのが馬鹿な若者たち、といった相違こそあれど、現地に残されたビデオカメラの映像で構成されている作品内容や、原住民を怒らせて報復に遭うという話の展開は、実に本家「食人族」をリスペクトしたものとなっている。「食人族」の影響を受けて作られた食人族映画は数多くあれど、ここまで本家に沿った方法で製作された映画もかえって珍しい。しかし本作、ここまで「食人族」をなぞらえていながら、あらゆる面において本家より劣化しているのが厳しいところだ。主観映像によるモキュメンタリー映画でありながら肝心の殺される描写が完全にカットされている上、そもそも主人公たちの悪事が墓の頭蓋骨を盗んだ程度なので、殺される際のカタルシスを全く味わうことができない。本作の山場に出てくる、槍で頭部を貫かれた女の死体が洗濯物のようにぶら提げられている映像も、「食人族」の美女串刺しの影響下にありながら本家以上のインパクトを出せていない。探検の動機といった目先の変更だけでなく、もっと作品の肝となる部分で、本家より秀でたモノを見せて欲しかった。
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