ツイスター2008         「評価 C」
幼い姉弟エイプリルとショーンは、突如発生した竜巻によって両親を奪われてしまった。それから30年後、エイプリルは竜巻専門の科学者となり、自分と同じ境遇の人間を増やさないために日々研究に勤しんでいた。ところが仕事に集中するあまり、彼女は最愛の娘ダナのことをなかなか構ってあげることができず、親子の間には大きな溝が生じつつあった。そんな中、保安官となったショーンの暮らす田舎町において、竜巻発生の兆しが現れた。そのためエイプリルはダナと共にショーンの町へとやってきたが、そこでも彼女は旧知の仲である気象レポーターのトラビスと一緒に竜巻の調査に没頭し、ダナとの時間を作ることができないでいた。するとダナは満たされない愛情を埋めようと、喫茶店で知り合った大学生ライアンと親睦を深めていった。しかしこのライアンという男、不動産会社を経営する父親の威光を借りて町で好き放題やっている、とんでもないナンパ男だったのである…。
「THE THING」や「HAKAIJYU 破壊獣」など、目を引く要素を持っているのに、どこか抜けているため凡作止まりな映画を撮り続けている男、スティーヴン・R・モンロー監督によるTVムービー。本作は竜巻の描写に関しては申し分のない出来だった。エイプリルたちがヘリで竜巻に接近する場面では、うねるようなカメラワークで乱気流の壮絶さをまざまざと体感させてくれたし、建ち並ぶ家々が一軒ずつ竜巻によって破壊されていく場面は、地上から捉えた構図によって竜巻の巨大さを観る者に体感させ、破壊の興奮を五割増しにしていた。VFXの美麗さという点ではさすがに「壊滅暴風圏U カテゴリー7」に及ばないものの、本作ではその分を演出で補っており、十分な満足感を得ることができたのだ。
しかしこれだけ竜巻の描写を頑張っているのに、肝心のクライマックスが、女たらしの青年から娘を救うという、傍から見たらかなりどうでもいいレベルの話だったのが残念でならない。いくら 困難を越えて親子の絆を取り戻すというのがストーリーの主軸とは言え、もっと災害を前面に押し出して話を作ることだってできただろうに。また本作、竜巻の危機が去ったら唐突に映画が終了してしまうため、エイプリルとトラビスの関係やら、エイプリルとダナの和解など、本来エピローグとして描かれるべき部分が丸ごとカットされていたのも何だかなあという気持ちにさせてくれる。このような脚本の不備のおかげで、せっかく竜巻に見ごたえがあっても、パニック映画としては今一つな出来となっていたのである。
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