デイ・アナザー・トゥモロー      「評価 C」
友人と会うためにオールドロッキー鉱山へと出かけた、イアンとエマの兄妹。ところが待ち合わせの場所に来てみると、辺りは地中から噴出したガスが充満し、友人は既に息絶えていた。数百万年もの長きにわたり火山活動を停止していた山が、再び活動を開始したのである。同じころ、緊急事態管理センターに勤めていた両親、ジョンとローリーもこの異常事態を察知し、すかさず兄妹を連れ戻すと、安全な場所に避難させた。そしてついに、山は轟音とともに爆発し、大量のマグマが市街地を襲った。溢れ出したマグマの量は尋常でなく、このままでは北米大陸に壊滅的な被害が及んでしまう。そこでジョンは一計を案じ、ダムを爆破してマグマを固める作戦に乗り出した…。
登場人物は主人公一家と死んだ友人のみ、舞台は辺鄙な火山だけという、「世界崩壊の序曲」すら裸足で逃げ出すほどのマイクロスケールで展開される火山パニック映画。そのくせ「マグマを止めないと世界が滅ぶ」といった趣旨の台詞が頻繁に出てきたり、マグマに沈む市街地の映像が流れたりと、製作側が災害の規模を極限まで大きく演出しようとしているものだから、見ていて終始違和感が付きまとってしょうがなかった。これまでずっと人気のない山の中で話が進行していたのに、映画の中盤になっていきなりマグマに覆い尽くされたビル街が登場した時はさすがにたまげたぞ。ただこの点を除けば、良くも悪くも凡庸なパニック映画である本作。災害を克服することで家族が絆を取り戻す筋立てもシンプルだし、マグマを止めるためにダムの水を使うのも意外性に欠ける。そう考えれば、観客と製作側の災害規模の認識の差によって観る者に強烈なインパクトが与えられたのは、本作にとって幸せなことではないかと思えるのである。
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