黙示録2009 隕石群襲来 「評価 C」
地球に接近している無数の隕石群。NASAの観測ではこれらは地球のすぐ側を通過するとのことだったので、人々はやがて見られるであろう流星雨を楽しみにしていた。ところが隕石群が地球に到来するその日になって、NASAのブライトン博士は驚愕すべき事実を国の上層部に伝えた。これまで参考にしていた隕石群に関する観測データは何者かによって改ざんされたものであり、このままでは隕石群は衛星軌道上の宇宙ステーションを破壊した後、カリフォルニア州に降り注ぎ、数十万人の死者が出るというのだ。それを知った政府は慌てて避難命令を出すが間に合うはずもなく、やがて宇宙ステーションは粉砕され、ロスアンゼルスの街は炎に包まれた。それどころか隕石の被害を受けた宇宙ステーションが軌道を外れ、ロスアンゼルスに墜落してくることが明らかに。宇宙ステーションには核融合炉が内蔵されており、もし地面に激突したらカリフォルニアは以後1000年間死の大地となってしまう。そこで国防総省はミサイルを発射して宇宙ステーションを爆破する計画を打ち立て、実行への準備にかかった。その一方、ブライトン博士は観測データを改ざんした犯人を探す中で、重大な陰謀に気付いてしまう。観測データを書き換えたのは、他ならない国防総省だった。国防総省はミサイル防衛を強化する法案を成立させるため、隕石群によって宇宙ステーションが墜落するよう仕向けていたのである…。
天体からやってくる脅威を強大な軍事力によってはねのける。「メテオ」「アルマゲドン」を始め、数多くの天体パニック映画で踏襲されているこの王道パターンを、強烈に皮肉ったのがこの映画だ。どうしようもないと思われていた巨大な災厄をはねのければ、当然軍の発言力は強くなるだろう。本作の国防総省はそこに付け込んで、宇宙ステーション撃破後に軍の防衛費を上げさせ、懇意にしている軍需産業を潤そうと企んだのだ。そのためにわざわざ隕石群の観測データを操作していたのは随分と回りくどい話だし、陰謀発覚までの過程が飛躍しすぎている、FBIが陰謀が暴露されるのを防ごうとして軽率にも生中継中のリポーターの頭に銃を突き付ける、など脚本上の欠陥が多すぎてストーリーは破綻をきたしていたものの、天体パニック映画好きとしては、こんな斜めに構えたアプローチからの発想を評価せずにはいられなかった。
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