黙示録2009 合衆国大炎上      「評価 D」
カリフォルニア州の山中では、ユニコープ社が代替燃料となるメタンガスの採掘作業を行っていた。ところが掘削中、地下のメタンだまりを塞いでいた岩盤を砕いたことから事件は起こった。溢れたメタンは採掘現場のみならず周辺の市街地にまで漏れ出し、ロスアンゼルスを始めとする至る地域でメタンが原因の火災が発生したのだ。いくら消火しようとしても、メタンが絶え間なく漏れているおかげで火はなかなか消えてくれない。しかもメタンの増大によって温室効果が生じ、カリフォルニア州の気温はどんどん上昇していった。気象学者のケイトはこの事態を収めるため、ロサンゼルスに人工的に雨を降らせようとした…。
数の少ない、ガスによる災害を描いたパニック映画。ガスを扱った作品としては他に「コンバッション」があるが、「コンバッション」ではガスを吸って意識を失うといった個人レベルの恐怖が強調されていたのに対し、本作では温室効果ガスが増大したことで気温が上昇するという、よりマクロスケールな被害に焦点が当てられていた。しかしこの映画で描写されている気温上昇による被害というのが、熱中症で人が次々と倒れていくぐらいで、画的にまるで見栄えがしなかったのは困りもの。その他の災害描写についても、ガス爆発は安っぽいVFXで表現され、火災はニュース映像の流用で済まされ、どうにも観ていて味気ないのだ。おまけに災害を食い止めるクライマックスの場面は、登場人物たちの緊張感に欠ける会話のせいで盛り上がりに欠けるときた。ガスの発生から温室効果に繋げる着眼点は素晴らしかったが、それ以外についてはあまり評価のできない作品だった。
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