ストーム・ゴッド        「評価 C」
バアル神の力を封じたとされる、4つのメダル。考古学者スタンフォードは、世界各地にバラバラに隠されているというこのメダルを見つけることが生涯の目的であった。死海文書の記述からメダルの1つが北極に隠されていることを突き止めたスタンフォードは、現地で採掘作業を行い、念願のメダルを見つけ出した。ところが発掘した瞬間、突如メダルは天に向かって光を放った。それに呼応するかのように北極全体を覆わんばかりの巨大な黒雲が出現したのだ。実はバアル神のメダルには自然を操る力が込められており、メダルを解放すると、その度に大規模な嵐が発生するようになっていたのである。その事実を知ったスタンフォードの同僚リーは、言語学者のキャロルと協力し、何とかスタンフォードを止めようとするが…。
本作は「ザ・ボルケーノ」「デビルズ・ストーム」「2012(2008年に製作された方)」などと同様の、オカルト要素を含んだディザスター映画である。バアル神の力という超自然的な原因によって嵐が発生し、また解決するにも超常現象的な方法を用いている。パニック映画にこのような要素を含めること自体は構わないのだが、ここで「デビルズ・ストーム」のように超常現象について説明不足だったりすると、パニック映画の持ち味である明快な楽しさが損なわれ、パニック映画好きとしてはどうしても我慢のならない内容になってしまうのが悩みどころだ。しかし本作は、そのあたりのバランスのとり方がうまかった。例えば巨大な嵐が発生する原因について、単にバアル神の力と説明するだけでなく、メダルが隠されていた座標との科学的関連付けがされており、またそれを活かしてスタンフォード博士の行き先を突き止めるという展開も用意されている。このように本作は、発生する現象についてオカルト的観点を主に据えつつも、科学の観点からの説明も並行して織り込むことにより、説明不足による混乱が極力起こらないようにしていたのだ。ただし肝心の災害描写の方は、序盤こそ北極の氷が吹き飛んだり炎の竜巻が発生したりと言った派手な災害が用意されていたものの、後半になるにつれて災害がどんどん地味になっていったのが残念に感じられた。
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