アナコンダ3           「評価 D」
製薬会社ウェクセル・ホールは、ボルネオ島から持ち帰った不死の蘭を使って、若返りの薬の開発に乗り出していた。しかし不死の蘭のエキスは、蛇には無毒であるが人間をはじめとする哺乳類には有毒だった。そこで研究所のアマンダは、毒を無効化するDNAを探すため、遺伝子改造したアナコンダたちに不死の蘭のエキスを投与し、その経過を見守ることにした。ところがそんなある日、視察にやってきた製薬会社の会長が、檻の中のアナコンダの顔にライトの光を当てたことから事件は起こった。突然の刺激にアナコンダは大暴れし、強化ガラスを破壊。施設内にいた他のアナコンダたちを率いて研究所を脱走してしまったのだ。このままではアナコンダたちが近隣の住民を襲って大パニックに陥るのは必至。アマンダは事態を収拾するべく、蛇退治の専門家ハメットたちと共にアナコンダの退治に乗り出した…。
舞台を未開の地から文明社会にシフトして展開される、「アナコンダ」シリーズの第三弾。TVムービーであるが故に前二作に比べるとVFXのクオリティは格段に下がっており、アナコンダの質感が「パイソン」シリーズと大差ないレベルになっている。その劣化分を補おうとしてか本作はグロテスクな描写がてんこ盛りで、アナコンダに襲撃されて首が千切れたり上半身が無くなったり腹に風穴が開いたり体液で顔を溶かされたりする他、アナコンダから逃げようとして足を折って骨が剥き出しになるなど、その無残さ加減はシリーズ屈指と言える。だがこの映画、残酷描写こそ頑張っているが、パニック映画に大切な見せ場を作る精神に欠けていたのが厳しかった。映画の中盤、アナコンダが市街地方面に向かっていることが明らかになり、「このままではアナコンダが住民たちを襲って大パニックになる」と語られて期待を高めてくれる。だがアナコンダは市街地のすぐ側を通り過ぎて工場跡に行ってしまい、街は全くパニックに陥らない。また映画の後半では、アナコンダが妊娠していることが判明し、やがて小さい蛇がワラワラ発生するのだろうなと期待させてくれる。しかし実際にアナコンダの子供が大量発生するのはラストほんの数分前で、おまけに誕生した直後に退治されてしまう。本作は中盤以降ずっとこんな感じで、意図して見せ場を外したとしか思えない展開が続いて、観る者を幾度となくガッカリさせてくれる。パニック映画としては到底満足のいかない作品だった。
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