2012             「評価 D」
2012年、メキシコのユカタン半島。マヤ文明の遺跡にて発掘調査を行っていたフランクたちは、十字架に磔にされたキリスト像と、「2012年12月21日に世界は最期を迎える」という怪しげな一文を発見した。折りしもその頃、世界各地で天変地異が続発していた。地震の数が急増し、世界各地で巨大な嵐が発生していた。米国地質研究所のロイドはこれを、地球の自転が遅くなっているせいだと突き止める。このままでは12月21日に地球の自転は完全に静止し、海が陸地の西側に津波となって押し寄せ、甚大な被害が出ることが予測された。そこでロイドは、メキシコで布教活動に勤しんでいる娘サラに電話をかけ、津波の影響が出ない北米のオクラホマに移動するように指示した。しかしサラは、噴火で川の温度が上昇したことにより生じた疫病に苦しむ村人たちを救うため、カメラマンのアレックスと共に現地に残り続けたのだ。一方その頃、レスキュー隊員のスーザンは、頻繁に夢に出てくるピラミッドのことが気にかかっていた。やがてそれがユカタン半島のチチェン・イツァにあるピラミッドだと判明すると、「これは神からの啓示に違いない」という母と一緒にピラミッドに行ってみることにした。またフランクたちも、十字架をチチェン・イツァのピラミッドに奉げれば終末は免れられることを突き止め、ピラミッドへと移動を開始する。サラたちも、神のお告げを聞いたという妊婦の願いをかなえるためピラミッドへと向かい、ロイドもまた、サラを安全な場所に連れていくために彼女を追ってメキシコに来ていた。幾つものグループがそれぞれの思惑でピラミッドに集結する中、刻一刻と滅亡の時は近づきつつあった…。
「2012年地球滅亡説」を取り扱ったモノとしては、ローランド・エメリッヒやマイケル・ベイに1〜2年先駆けて製作された終末パニック映画。冒頭の火山噴火に始まり、疫病、竜巻、地割れ、雷、ヒョウ、津波と多種多様な災害が出てきて終末ムードを盛り上げようとしているが、どれも低予算のせいで随分とこじんまりとした印象だった。特に大規模災害になるほどその傾向は顕著で、竜巻が発生する場面では、折角市街地だというのにこれといった破壊描写は存在せず、ただ建物の向こうに見える竜巻に人々が騒いでいるだけという有様。走行中の車にヒョウが降り注いできて大ピンチという場面では、ヒョウが車のフロントガラスを突き破って運転していた人間の胸を貫通したところまでは良かったものの、その途端ヒョウはぴたりと止んでしまい、「如何にして危機を切り抜けるのか」という展開に発展しなかったのは拍子抜け。西海岸に津波が押し寄せる場面は、遥か上空から俯瞰したのを1カット見せるだけで、パニックに陥る人々の姿なんてものはこれっぽっちも見せてくれない。災害描写がずっとこんな体たらくなものだから、世界規模の災害が起こっているはずなのに少しも終末感を味わえないのだ。ストーリーの方もマヤ文明を題材にしているくせに、「マヤ文明の遺跡からキリスト像が見つかった!きっとキリスト教は千数百年前の段階で既にマヤ文明に伝わっていたに違いない!」という展開にして、解決方法を思いっきりキリスト教チックな内容にしているのは如何なものか。この題材に対する適当な取り組み方には、災害描写同様にただただ愕然とするしかなかった。
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