D-WARS          「評価 C」
太古より地球には、二匹の大蛇がいた。善良な蛇イムギと邪悪な蛇ブラキは、それぞれ神の力を持つ巨大な竜になるために、神聖なるヨイジュの力を受け継ぐ者を探し求めていた。そして500年前、イムギに仕える一族は朝鮮にてヨイジュの力を得た娘を見つけ出したものの、力が行き渡る前にブラキの手勢の妨害に遭い、娘はイムギを守る戦士と共に非業の死を遂げてしまった。時は流れ、現代のカリフォルニア。TVリポーターのイーサンは、市街地に突如出現した巨大な穴の取材を行っていたところ、まばゆい光を放つ大きなウロコを発見する。イーサンはそのウロコに見覚えがあった。彼は幼いころ、たまたま訪れた古道具屋にて、よく似た形状のウロコから発せられた光が自分の体内に入っていくという不思議な体験をしていた。それを見た古道具屋の主人は大いに驚き、幼いイーサンに対して、それがイムギのウロコであることを教え、この世界におけるイムギとブラキの争いの歴史を聞かせてくれた。また主人は、イムギとブラキの目覚めが近いこと、ブラキが竜になるのを阻止するためには、ヨイジュの力をもつ女性を探さなければならないことを話していた。そのことを思い出したイーサンは、二匹の大蛇が現代に蘇ったのだと確信し、ヨイジュの力を受け継ぐ者を捜し出すことを決意した。だがその一方で、ブラキに仕える魔物たちも現代に蘇り、ヨイジュの力を得るために暗躍していたのである…。
あの韓国B級映画界における何でも屋シン・ヒョンレが「怪獣大決戦ヤンガリー」に続いて製作した、ド迫力な映像がウリの米韓合作モンスターパニック映画。「ヤンガリー」に比べるとその映像技術の進歩には目を見張るばかりで、本作では美麗なVFXで描かれた大蛇が、翼竜が、恐竜戦車が、画面狭しと暴れ回って魅力を振りまいていた。序盤の「ロード・オブ・ザ・リング」ばりのモンスター大集合な城攻めシーンに始まり、ブラキに締め付けられた巨大病院からの脱出、ビル街における爬虫類大軍団とアメリカ軍の一進一退の攻防、そしてクライマックスのイムギVSブラキの怪獣大戦争と、とにかく見どころがてんこ盛りでサービス精神旺盛な内容になっているのは、さすがシン・ヒョンレ監督と言うべきか。
しかし本作、映像には圧倒されるものの、映画としての面白さは「ヤンガリー」に大きく劣っていると言わざるを得ない。「ヤンガリー」は終始「まじめに馬鹿をやる」という雰囲気で小ネタも満載で楽しめたのに対し、本作は「とにかくすごい映画を作ってやるぞ」という意気込みが先行しすぎているためか、シン・ヒョンレ監督の人を食ったような持ち味が大きく薄れ、結果として地に足のついていない設定ばかりが鼻についてしまうのだ。おかげで折角の大蛇と翼竜と恐竜戦車の絢爛豪華な饗宴も、喉に何か引っかかったようなもどかしい気持ちで見てしまい、興奮を味わうまでは至らなかった。映画のコンセプトとそれを実現する技術は素晴らしいだけに、非常に勿体なく感じられる映画だった。
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