アルマゲドン20XX          「評価 D」
核戦争と疫病によって荒廃した、20年後の世界。人々の心は荒み、絶えず略奪と抗争が繰り返されていた。しかしそんな世の中において、荒野の空き家で暮らすサラは、お腹の中に子供を身ごもっていたのだ。彼女は子供を無事に出産するべく、母親マーガレットや心の医者サミュエルと共に、マーガレットの旧知の男クインシーが暮らす集落へと旅に出た。何とか集落まで辿り着いた彼女らだったが、到着して間もなく、集落はデイビッド率いる盗賊団の襲撃を受けてしまう。どうやら盗賊団の狙いはサラのお腹の赤ん坊のようで、そのためにサラたちは集落を離れざるを得なくなった。集落で知り合ったラジオのDJマイケルと共に、彼のラジオ仲間のハービーが待つ高層ビルへと移動を開始するサラたち。しかしデイビッドたちもまた、サラを追って動き始める。果たしてサラは赤ん坊を産み、未来への希望を繋ぐことができるのか…。
「アルマゲドン20XX」なんて邦題をしているが、「20 YEARS AFTER」の原題が示す通り、実は「28日後…」のフォロワーであるSF映画。サラの出産話を軸に据え、「世界が燃えつきる日」のような荒廃した未来世界において希望を見出そうとする人々の姿を描いた内容なのだが、いかんせん説明不足な箇所が多すぎるため、居心地の悪さを味わい通しだった。例えば映画の中盤、サミュエルはサラやデイビッドに対して、唐突に「相手に別の可能性の世界を見せる」という超能力を使ってみせる。いったい何故こんな能力が使えるのか?果たしてサミュエルは何者か?……といった諸々の疑問が浮かぶものの、能力を見せた直後、サミュエルは「別の可能性」を見て取り乱したデイビッドに刺されて死亡する。そしてその後も、謎は一切明かされず、さも何事もなかったかのようにストーリーは進行していくのだ。本作は始終こんな感じで、盗賊団の謎の儀式の意味や、盗賊団が赤ん坊を狙う理由など、伏線と思しきものは大抵はぐらかされてしまう。あまりにも観る者を突き放した内容で、楽しむに楽しめない作品だ。
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