イエティ 「評価 D」
ペイトンたち大学のアメフトチームは、ボウル・ゲームに出場するため、飛行機で日本に向かっていた。だがヒマラヤ上空に差し掛かったところで、乱気流に巻き込まれて飛行機は墜落。機体は大破し、多くの人間が命を落とす大惨事になった。ペイトンらは辛うじて死を免れたものの、そこは雪山のど真ん中。助けが来るまでの間、極寒の雪山でサバイバル生活を送らなければならなかった。機内に残っていたチョコレートと酒はあっと言う間に底を尽きたため、野ウサギを狩り、更には死体の肉まで口にしながら、じっと救助を待つ一行。しかしそんな彼らに追い打ちをかけるかのように、奴は姿を現した。遠い昔からこの地に暮らし、訪れた人間を貪り続けてきた怪物“イエティ”が…。
「スネークヘッドテラー」「ジュラシック・レイク」のポール・ジラー監督が、「フローズン・ハザード」以来7年ぶりに製作した雪山映画。「試合に向かうアメフトチームが、飛行機事故のせいで雪山でサバイバルをする」という本作の基本プロットは、アメフトとラグビーの違いこそあれ、明らかに「生きてこそ」や「アンデス地獄の彷徨」などで有名な1972年の飛行機墜落事故が元ネタだ。食料のチョコレートが無くなって死体の肉に手をつけるところまで本家と一緒なのだが、本作ではその間に、ウサギ狩りを行うシークエンスを挿入していたのがまずかった。ここでペイトンらは狩りに成功し、ウサギを食べている。そのため「人肉を食べるのが嫌ならウサギを狩ればいいじゃないか」と思えてしまい、極限状況の説得力が大いに薄くなっていたのだ。また本作、中盤で雪崩が発生する場面があるものの、在り物のフィルム+出演者たちに雪が降りかかる映像のみで構成されており、迫力は無きに等しかったのも厳しいところだ。
そんな劣化版「生きてこそ」な本作において、唯一輝いていたのがイエティの残虐ぶりだ。心臓をえぐり出す、頭を踏み潰す、もぎ取った足で殴りつけるなど、その鬼畜ぶりはなかなかのもの。それでいて簡単に罠に引っかかったり死に際が無様だったりと、妙に間の抜けているところもまた魅力的に感じられた。
雪崩映画一覧へ
TOP PAGE